研究課題/領域番号 |
21K05858
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
飯田 賢一 奈良工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (70290773)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 農業支援 / 運搬台車 / 収穫作業 / 管理作業 / 農業ロボティクス |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では,施設園芸における省力・軽労化とストレス解消,および熟練者技術の継承を実現する収穫・管理支援用運搬台車の開発を試みる. 開発する運搬台では,現在多くの施設園芸にて広く用いられている手押し型の運搬台車を電動化し,操作する際の煩わしさから派生するストレスを解消するために,ハンズフリーでの操作を可能とすることで課題を解決する. さらに,熟練者技術の継承では,運搬台車に利用時に熟練者の収穫技術を収集し,収穫技術を“見える化”し,“見える化”された収穫技術は,運搬台車を介して誰でも利用できるものとして実現する.
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研究実績の概要 |
現在の日本の農業は,農業就業者の高齢化が問題となっており,2000年から2016年までに,農業就業人口のうち65歳以上の割合は52.9%から65.2%に増加している.我が国の農業現場では就農者の高齢化が急速に進んでいることから,農工連携による農作業の省力化や軽労化が求められているとともに,新規就農者への栽培・収穫スキルの継承や農業経営の効率化が喫緊の課題となっている. 本課題では,施設園芸における省力・軽労化とストレス解消,および熟練者技術の継承を実現する収穫・管理支援用運搬台車の開発を試みる.開発する運搬台車では,現在多くの施設園芸にて広く用いられている手押し型の運搬台車を電動化し,操作する際の煩わしさから派生するストレスを解消するために,ハンズフリーでの操作を可能とすることで課題を解決する.さらに,熟練者技術の継承では,運搬台車に利用時に熟練者の収穫技術を収集し,収穫技術を“見える化”し,“見える化”された収穫技術は,運搬台車を介して誰でも利用できるものとして実現する. 開発する運搬台車に求められることは主に次の2つの要素に分けられる.①運搬台車と収穫作業を同時に行えること,②台車の進行方向は常に一定であることに加えて,③熟練者の収穫技術を搭載することである.これらの実現するために,収穫・管理支援用運搬台車の設計・製作を第1フェーズ,収穫スキル提示システムの開発を第2フェーズとし,これらの統合を第3フェーズとして,本研究課題を遂行する. 令和3~4年度は,第1フェーズと第2フェーズの実施期間とし,①と②を実現可能な運搬台車を試作し,簡易フィールドにて走行テストを実施した.その結果,ハンズフリーで運搬台車を操作できることを確かめ,問題点や改良点の洗い出しを行った.また,③に関しては,機械学習を用いて収穫技術の一つである農作物の熟度判別が可能なことを確かめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3~4年度は,第1フェーズと第2フェーズの実施期間とし,①運搬台車と収穫作業を同時に行えることと②台車の進行方向は常に一定であることを実現可能な運搬台車を試作し,簡易フィールドにて走行テストを実施した. 走行テストは作業形態により3つのモードとして遠隔操縦モード,作業者追従モード,自律移動モードを設けた.遠隔操縦モードではリモートコントローラからの操縦に加えて,栽培ベンチ間通路において測域センサを用いて直進補正アルゴリズムを導入した. 作業者追従モードでは,直進補正アルゴリズムに加えて,作業者の足の位置から作業者との位置関係を保つよう運搬台車が制御され,ハンズフリーにて運搬台車の操作が可能となった.これにより,作業者が収穫作業に専念できることが確かめられた. 自律移動モードでは,事前に施設内の環境マップを作成し,そのマップ上の任意点を指定することで自律移動可能なことを確かめた.これにより,施設内の特定の位置で停止することが可能となり,農薬や肥料散布といった作業が自動で行えるようになった. また,③熟練者の収穫技術を搭載することの一部として,機械学習のモデルであるDETRとRankNetを用いてイチゴの熟度を定量化できることを確かめた.
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今後の研究の推進方策 |
令和3~4年度において,第1フェーズと第2フェーズの実施期間とし,運搬台車を試作し,簡易フィールドにて走行テストを実施し,さらに,機械学習を用いて収穫技術の一つである農作物の熟度判別が可能なことを確かめた. 令和5年度は第1フェーズの続きとして,走行テストの結果から得られた試作した運搬台車の操作性・機動性などの問題点の改良を図る.さらに,第2フェーズの続きとして,農作物の熟度判別においては,様々な農作物への対応,屋外環境における光の影響の改善を図る.これらと並行して第3フェーズとしてこれらのシステムの統合し,実農家での運用テストを実施し,問題点の改良を図る.
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