研究課題/領域番号 |
21K05866
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 静岡県工業技術研究所 |
研究代表者 |
井出 達樹 静岡県工業技術研究所, 富士工業技術支援センター機械電子科, 主任研究員 (70788801)
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研究分担者 |
小熊 亜津子 静岡県畜産技術研究所, 酪農科, 上席研究員 (00897465)
荒川 俊也 日本工業大学, 先進工学部, 教授 (50631248)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 深層学習 / 疾病検知 / 個体識別 / 乳牛 / 画像解析 / センシング |
研究開始時の研究の概要 |
近年の酪農経営における乳牛の生産では、作業の省力化、経営規模の拡大を図るため、個体ごとに管理を行う「つなぎ飼い」から、舎内で放し飼いを行う「群飼育」への移行が増加している。群飼育は個体管理が非常に難しく、特に、子牛は疾病による損失リスクが高く、疾病の診断には獣医師による専門的な知見が必要とされる。 本研究では、子牛の疾病として代表的な呼吸器・消化器疾患を対象とし、これを診断する獣医師の知見に基づいた疾病の有無を画像から判定する指標を明確化する。深層学習を用いた画像解析によって疾病時の指標を抽出し、群飼育の環境下で子牛の疾病検知が可能なシステム開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度作成したデータ収集システムから得られた子牛の生体データを使用し、疾病検知及び個体識別を行うための深層学習モデルについて検討を行った。 獣医師の知見を基に、首の伸長及び垂れ下がりが子牛の呼吸器疾患の特徴量として有効であると考え、動物用の行動推定ツールDeepLabCutによる牛の骨格情報抽出を試みた。子牛の画像データについて抽出したい部位をラベリングし、DeepLabCutに学習させることで自動的に骨格情報を推定することができる。牛1頭につき600程度のラベリングデータを用意し、モデルに学習させることで骨格推定は可能となった。しかし、ラベリングデータのない未知の牛に対して、モデルを適用することができなかった。 深層学習用ライブラリPyTorchを使用し、DeepLabCutで抽出した骨格情報及び接触式センサから取得した牛の生体データを複合的に使用して疾病を検知するための深層学習モデルを作成した。モデル学習用のデータセットについては、今後の検討で作成する。来年度の検討で、疾病検知モデルの性能評価および改善に取り組む予定である。 牛の個体識別について、物体検知用の深層学習モデルSSD(Single Shot MultiBox Detector)を使用した個体識別プログラムを作成した。牛の個体ごとに前面、側面(右向き、左向き)、背面でクラス分類し、撮影した写真を学習させることで、高い精度で個体識別が可能になった。ただし、体の汚れ、毛の生え変わり等により精度が低下するため、画像の前処理方法を検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子牛の疾病検知方法の検討について、牛の骨格情報の抽出が可能となった。未知の牛に適用できない問題があるため、モデルの精度を改善する必要はあるが、骨格情報があれば、呼吸器疾患、消化器疾患の特徴量抽出は画像そのものを入力データとした場合と比較して容易になると考えられる。 個体識別について、深層学習モデルの作成、検証まで完了している。環境の変化に弱く過学習の傾向があるため、モデルの学習に使用する画像データについて前処理方法等を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
子牛の疾病検知について、子牛の骨格情報及びその他生体データを複合的に使用した深層学習モデルについて精度の検証および改善を行う。また、骨格情報については未知データに対して自動推定ができるようにDeepLabCutのモデル改善を検討する。 個体識別について、画像の前処理等を検討し、環境の変化に強い深層学習モデルに改善する。 最終的に疾病検知、個体識別の深層学習モデルを組み合わせ、牛群中での疾病検知システムの構築を行う。
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