研究課題/領域番号 |
21K05875
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
増永 二之 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (10325045)
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研究分担者 |
上野 誠 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (00403460)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 電池反応 / 水処理 / 窒素動態 / 土壌 / 汚水処理 / 微生物叢 / リン酸 / 汚水浄化 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者等独自の土壌式の汚水処理技術の研究成果(システムの構造と土壌への資材添加の汚水処理への影響や送気による酸化還元状態制御など,一連の研究を通して得られた土壌―汚水反応系の物質反応に関するデータの蓄積と試験研究のノウハウ)を基盤として,土壌への炭と金属鉄添加により生じる荷電発生や遊離鉄の増大に伴う土壌の物理化学生物的な反応プロセスおよび物質動態への作用の解明および,土壌の汚水処理機能の極大値を探求する。
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研究実績の概要 |
2022年度の実験結果(湛水条件と電池反応の相乗作用)を踏まえ、鉄板と炭板(電池反応)あり・なしの2種類の装置に人工汚水を用いた処理試験を行い、湛水と非湛水の2つの条件の差異を比較した。週に一度、装置内部と排水口の水質を分析と、電極の電流、電圧、装置内部の酸化還元電位を測定した。 試験開始時の電流と電圧は湛水条件と非湛水条件で0.1A未満と0.40V程度であり、時間(鉄板の酸化)と共に低下したが両条件で有意な差は認められなかった。NH4-N濃度変化に関して、湛水条件において、装置内部特に炭板付近の濃度が、電池反応なしの装置よりも高く維持され硝化の抑制あるいはアンモニア生成が示唆された。しかし、装置出口では電池反応の有無による有意な差は見られなかった。この結果は、電池反応の影響範囲が限定的で、土壌層全体に対して量的な影響を与えるためには電極の面積の増加の必要性を示している。 NO3-N濃度変化について、装置出口と装置内部のいずれにおいても電池反応の影響による有意な差は見られなかったが、湛水条件の鉄付近ではNO3-N濃度が高くなり、脱窒が抑制された可能性が示唆された。NO2-N濃度は低く維持されも、装置出口および装置内部のいずれにおいても有意な差は見られなかった。 リン酸濃度は、湛水条件の装置内部の鉄付近で浄化能(原水濃度に対する減少率)が増加する傾向が見られた。酸化鉄による嫌気的条件で除去が促進されていることが示唆された。この結果は、土壌層内のリン酸吸着の増減は、電池反応による鉄板からの鉄の溶出(湛水状態で増加)に依存していることを示している。 以上今回の実験条件においては、電池反応は、炭あるいは鉄電極付近の硝化・脱窒の抑制、アンモニア生成を促し、土壌層内(電極付近)での無機体窒素の維持、またリン酸の吸着増加より、土壌の水処理機能よりも養分保持による生産性の強化を示す結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
冬期の環境変化により実験条件が急変し、当初予定していた実験終了時の装置内部の微生物群集構造の分析を行うことができなくなり、実験期間を延長したため。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を延長して実験を継続中であり、2024年7月までに、実験終了時に装置内部の土壌採取と微生物群集構造の分析と解析を行う。
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