研究課題/領域番号 |
21K05882
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
永井 孝志 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (10391129)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 農薬 / 生態リスク / 複合影響 / 環境DNA |
研究開始時の研究の概要 |
農薬の「少量多種類化」が進んでおり、個別の農薬のリスクは低くても多種類の複合影響の懸念が増加している。本研究では、この傾向によって農薬全体のリスクはどう変化してきたか、特定の問題のある農薬をやめることで農薬全体のリスクはどう変化するか、などの解析を行う。具体的には、全国の環境基準点における農薬の生態リスクを定量化し、全国マップとして可視化する。次に、生態リスクの過去からの経年変化や農薬代替シナリオによる将来的なリスクの変化を可視化する。さらに、構築したリスクマップの生態学的な検証として、複数の評価地点の河川水生生物相を調べ、各地点の農薬生態リスクの大きさと生物相の関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題は以下3つのサブテーマに分けて実施している。 ① 複数農薬の複合影響を考慮した全国生態リスクマップの構築:令和3年度に構築した2010年度ベースの生態リスクマップについて、元の地点データや土地利用データなどを精査して修正した。 ②生態リスクの経年変化や使用農薬を変えた場合の生態リスクの変化の可視化:過去にさかのぼって1990年、1995年、2000年、2005年ベースの農薬濃度予測と生態リスク評価が各環境基準点における完了し、生態リスクマップとして可視化した。これにより、農薬の生態リスクの1990年~2010年までの20年間にわたる長期変化を可視化することができた。 ③評価されたリスクの大きさと実際の水生生物群集との比較検証:環境DNAを用いた水生生物群集の評価方法について、令和4年度は珪藻の評価手法についての検討を行った。令和3年度に行った18SリボソームRNA領域を使う方法に対して、新たに行った葉緑体RubisCO大サブユニット(rbcL)領域の方が優位性があると判断された。また、茨城県内の15河川において5-6月にかけて採水を行い、昆虫と珪藻について環境DNAメタバーコーディングを用いた水生生物相を解析した。昆虫と珪藻それぞれについて農薬の影響を評価するための生物指標であるSPEARを計算したところ、サブテーマ①で評価した生態リスクの大きさによって指標値にも差が出てくることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サブテーマ①の全国生態リスクマップの構築に関しては、さらにデータを精緻化して修正を行った。サブテーマ②については、過去にさかのぼって1990年から2010年までの期間における農薬濃度予測と生態リスク評価が完了し、順調に進んだと判断された。サブテーマ③は、昨年度検討した環境DNAメタバーコーディング手法を用いて、多地点の調査を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
サブテーマ②1990年から2010年までの期間における農薬濃度予測と生態リスク評価が完了したので、今後は2010から2020年までの期間における農薬濃度予測と生態リスク評価を進め、リスクマップとして可視化する。当該年度における農薬の使用量は各年の農薬要覧、使用方法は当時の農薬便覧などの資料を活用してデータを整理する。 サブテーマ③評価されたリスクの大きさと実際の水生生物群集との比較検証:茨城県内の環境基準点の中から①の結果を用いて高リスク地点から低リスク地点まで調査地点をそれぞれ選定し、水稲用農薬の河川水中濃度が高くなる5-6月にかけて環境DNA法を用いた生物群集の調査をさらに多数の地点で進める。
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