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土壌細菌アグロバクテリウム に近縁な耐塩性根粒菌の可能性について

研究課題

研究課題/領域番号 21K05885
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分41050:環境農学関連
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

馬場 晶子 (笠井晶子)  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 遺伝資源研究センター, 上級研究員 (50414933)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードハマササゲ根粒菌 / アグロバクテリウム / 線状染色体 / 全ゲノム解読 / 進化系統解析 / 耐塩性根粒菌 / Agrobacterium属 / 遺伝子の水平伝播 / 南西諸島 / Vigna marina (ハマササゲ) / Rhizobium属 / 砂浜適応 / 全ゲノム解析 / 遺伝子の水平伝搬 / 耐塩性 / 共生関連遺伝子の獲得
研究開始時の研究の概要

南西諸島の砂浜で繁茂する耐塩性植物ハマササゲの根には、多様な根粒菌が共生して宿主植物の成長に貢献している。なかでも、土壌細菌 アグロバクテリウムに近縁な根粒菌系統は、海水レベルの塩水でも旺盛に増殖できる上に、全てのハマササゲ生息地で普遍的に見つかるものであった。本研究は、日本の砂浜のありふれた土壌細菌が、耐塩性植物を宿主とする耐塩性根粒菌に進化した過程について考察するものである。得られた知見は、塩害地での農業に役立つ耐塩性優良根粒菌の開発へと繋げて行くつもりである。

研究実績の概要

4属11菌株(Bradyrhizobium 属細菌1株、Sinorhizobium 属細菌4株、Rhizobium 属細菌3株、Agrobacterium属3株)から構成されるハマササゲ根粒菌について、全ゲノム塩基配列に基づく系統解析と種同定を進めた。特に、第2染色体として線状染色体を持つAgrobacterium属の3菌株については、線状染色体末端構造および進化系統的なポジションと末端構造の相関を明らかにすることを目的に、Agrobacterium属標準菌株など20菌株を国内及び海外の保存機関から取り寄せ、ハマササゲ根粒菌と同様にNanoporeロングリードとIlluminaショートリードによるde novo全ゲノム解読を実施して、線状染色体末端配列の比較解析を行った。
全ゲノム塩基配列から81個のハウスキーピング遺伝子を抽出して分子系統解析を行った結果は、Agrobacterium属の3菌株は、いずれもGenomovar 7に属するAgrobacterium deltaense あるいはAgrobacterium legmiumと近縁であることを示しており、ANIが95%以上であることから上記2種と同種であると結論づけた。さらに、ハマササゲ根粒菌とAgrobacterium属標準菌株など23菌株の線状染色体末端配列の比較から、26bpのコンセンサス配列を決定した。また、線状染色体を持たないRhizobium 属ハマササゲ根粒菌(3株)の1菌株については、Agrobacterium属とRhizobium 属の境界に位置することが分かり、線状染色体獲得イベントについて新規の知見を与える可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

R3・R4と2年続けて先進ゲノム支援を受けることができ、ハマササゲ根粒菌についてのde novo全ゲノム解読が終わり、種同定のための系統解析を高い精度で行うことができた。この過程で、Agrobacterium属細菌における線状染色体獲得イベントの進化系統的な解析というテーマが派生、Agrobacterium属標準菌株など23菌株についてもde novoでの全ゲノム解読を進め、Agrobacterium属ハマササゲ根粒菌3株と共に線状染色体末端配列の精緻な情報を体系的に取得、末端配列の比較から、26bpのコンセンサス配列を決定することができた。
ゲノム解析や分子系統解析が飛躍的に進んだ一方で、当初に計画していた異種のハマササゲ根粒菌による混合接種試験については、初年度に得たネガティブな結果について追求・改善する予定を実施できなかった。
予想以上に進展したテーマと遅延を否めないテーマができてしまったので、2つを合わせておおむね順調であるとした。

今後の研究の推進方策

R5年度は、本研究で得られた成果について2報の論文、1)ハマササゲ根粒菌の根粒系性能とストレス耐性 2)ハマササゲ根粒菌の全ゲノム塩基情報に基づく種同定と線状染色体末端配列の解析、を執筆・投稿する予定である。
また、本研究で明らかとなった線状染色体の末端のコンセンサス配列は、末端構造を生成・維持するテロメアーゼの認識配列であると考えられる。今後、コンセンサス配列とその周辺配列、テロメアーゼ遺伝子(telA)の塩基配列などを用いて比較系統解析を行うことにより、Agrobacterium属細菌における線状染色体獲得イベントについて進化系統的な考察を進めていく予定である。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 徳之島,沖永良部島,与論島におけるVigna marinaの種子および根粒の探索収集,2019年11月18日~22日2023

    • 著者名/発表者名
      Akiko BABA-KASAI
    • 雑誌名

      植物遺伝資源探索導入調査報告書 = Annual Report on Exploration and Introduction of Plant Genetic Resources

      巻: 38 ページ: 14-27

    • DOI

      10.24514/00008073

    • ISSN
      2434-7485
    • URL

      http://id.nii.ac.jp/1578/00008073/

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 2021年の種子島,屋久島,奄美大島におけるマメ科植物遺伝資源とその根粒の現地調査・収集について2023

    • 著者名/発表者名
      Akiko BABA-KASAI, Masanori MATSUO, Mitsunori AKIBA
    • 雑誌名

      植物遺伝資源探索導入調査報告書 = Annual Report on Exploration and Introduction of Plant Genetic Resources

      巻: 38 ページ: 28-42

    • DOI

      10.24514/00008074

    • ISSN
      2434-7485
    • URL

      http://id.nii.ac.jp/1578/00008074/

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ハマササゲ根粒菌のストレス耐性について2021

    • 著者名/発表者名
      馬場(笠井)晶子
    • 学会等名
      日本土壌微生物学会 2021年度大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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