研究課題/領域番号 |
21K05887
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
出口 善隆 岩手大学, 農学部, 准教授 (40344626)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | イノシシ / 土地選好 / 広葉樹林 / 日周活動 / GPS / 林道 / 野生動物 / 農作物被害 |
研究開始時の研究の概要 |
豚熱の感染拡大により、野生イノシシの制御が課題となっている。イノシシは竹林や耕作放棄地を好むことが知られており、豚舎近くのやぶの伐採などの対策が行われている。一方2000年代以降、イノシシの分布域は拡大し、岩手県にも広がっている。これまでイノシシの分布域は積雪深と関係があるとされてきた。しかし江戸時代の文献には岩手内陸部にもイノシシが生息していたことが記載されている。本研究では多雪地域におけるイノシシの土地利用実態を調査し、多雪地域におけるイノシシの土地選好性を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
1)生活痕跡調査をもとにした土地選好性調査 岩手県雫石町において積雪期にイノシシの足跡を追跡し、生活痕跡調査および糞内容物調査を行った。生活痕跡調査で得られた掘り返し跡の分布の有無データを目的変数、調査区の林相、調査日の雫石町の積雪深および調査日の年を説明変数として一般化線形モデルを構築した。糞内容物調査では出現頻度とポイントフレーム法による糞内容物中割合を求めた。その結果、ベストモデルではコナラ・ミズナラを主とする広葉樹林・混交林およびスギ林が有意に正に、積雪深が有意に負に影響する説明変数として選択された。糞内容物では堅果類がすべての糞から出現し、糞内容物中の割合も78.5%と最も高かった。これらのことから、イノシシは積雪期には堅果類を利用できる広葉樹林を好むことが示された。また、一般化線形モデルの結果から、積雪深が深くなると掘り返しが困難になり、落葉広葉樹と比べて積雪深が浅い常緑針葉樹林へと採食場所を移動させると考えられた。また、同調査地において自動撮影カメラを用いて、イノシシの日周活動性の推定を行った。自動撮影カメラを調査地内に9台設置した。その結果、春季から秋季にかけては日没前後に撮影回数のピークがあったが、冬季では日中に撮影回数のピークがあり、昼行型に変化した可能性が示された。イノシシは東北地方北部の冬季の特徴である低温や積雪に対し,日周活動性を変化させることで適応している可能性が考えられた。 2)GPSを用いた土地選好性調査 イノシシを捕獲、GPSを装着し、放獣し、GPSでは、3時間に1回位置を記録する予定であった。新型コロナウイルス感染症の影響で遅れていたGPS首輪も輸入できき、罠の購入等、イノシシ捕獲に向けた準備を行った。クマの錯誤捕獲を避けるために、クマの活動が低下する12月の捕獲を予定したが、例年にない早期の大雪により、今年度中の捕獲を断念した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「生活痕跡調査をもとにした土地選好性調査」では、順調に調査が進行し、積雪期の土地選好性の推定を行うなど、当初の計画以上に進展している。しかし、「GPSを用いた土地選好性調査」では、例年にない早期の大雪により、今年度中の捕獲を断念した。そのため、次年度における捕獲準備を進めるとともに、関係者による打ち合わせ等を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後もイノシシの生活痕跡調査をもとにした土地選好性調査を継続して行い、土地利用に影響を与える堅果類の豊凶や積雪深などの調査を行い、土地選好性の変動を明確にする予定である。また、イノシシを捕獲、GPSを装着し、放獣を行い、位置データをもとに、イノシシの土地利用に対する土地選好性を明らかにする予定である。
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