研究課題/領域番号 |
21K05896
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
|
研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
澤野 祥子 麻布大学, 生命・環境科学部, 准教授 (60403979)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 筋損傷 / 筋萎縮 / 筋肥大 / 運動神経 / 筋線維 / ハイブリッド筋線維 / 回復 / 骨格筋 |
研究開始時の研究の概要 |
食肉の食味性を決定する上で、家畜の骨格筋線維タイプ組成は非常に重要な因子である。筋線維タイプは後天的に変化することが分かっているが、単一筋線維レベルでタイプ変化を遂げる際、筋線維を支配する運動神経がタイプ変化にどの程度影響を及ぼすのかほとんど分かっていない。筋線維は各々特定のタイプの運動神経からの支配を受けているため、線維タイプ移行成立の際にも各々のタイプに呼応する運動神経の再神経支配が必須であると予想される。そこで本研究では、筋損傷から骨格筋再生途上で増加する「ハイブリッド筋線維」の増加とその後の減少が坐骨神経切除によって影響を受けるか検討することで運動神経の役割を明らかにすることを目指す。
|
研究実績の概要 |
哺乳類の骨格筋は、遅筋型(1型)、速筋型(2B型)、その中間の2A、2X型に分類される。運動などの後天的な外的因子により骨格筋線維タイプが変化することが明らかになっているが、単一筋線維レベルでタイプ変化を遂げる際、筋線維を支配する運動神経がタイプ変化にどの程度影響を及ぼすのかほとんど分かっていない。そこで本研究では、筋損傷から骨格筋再生途上で増加する「ハイブリッド筋線維」の増加とその後の減少が坐骨神経切除によって影響を受けるか検討することで運動神経の役割を明らかにすることを目指す。 本年度は、骨格筋損傷からの回復あるいは筋肥大に関与する成分についての検討を行った。まず、マウス骨格筋幹細胞C2C12を用いた検討を行った。C2C12筋管細胞に成分Aを共存させることにより、筋合成系の活性化およびミオシン重鎖発現量の増加、筋分解抑制に寄与することを見出した。また、C57BL/6Jマウスにその成分を1ヶ月間投与したところ、マウスヒラメ筋および長趾伸筋の筋線維断面積の分布が増大の方向にシフトしており、断面積平均値に有意な増加が認められた。したがって、成分Aの投与により筋肥大が起こったことが示唆された。 このように、筋損傷からの回復あるいは筋肥大を促す成分を見出したことから、筋回復・筋再生を効率的にコントロールできることが示唆された。これらの知見を活用し、最終年度では、筋線維再生時の筋線維タイプ決定に運動神経がどのような役割を担っているのかを明らかにすることを目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、骨格筋損傷からの回復に寄与、あるいは、筋肥大に関与する成分を複数見出すことができた。これにより、筋線維の再生と運動神経支配との関係を効率的に検討することが可能になった。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は、運動神経が筋線維再生時に果たす役割を検討するため、筋損傷後の回復時の運動神経および神経筋接合部の動態について評価する。 筋細胞と運動神経が連結する神経筋接合部(NMJ)には、成熟アセチルコリン受容体(成熟AchR)が密集している。この成熟AchRを染色できるαブンガロトキシンを用いて、通常筋線維あるいはハイブリッド筋線維におけるNMJの有無を調べる。通常1種類の運動神経は1種類の筋線維のみと接合しNMJを形成するが、ハイブリッド筋線維は運動神経による支配がない、すなわちNMJが存在しないと推測している。
|