研究課題/領域番号 |
21K05904
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
高木 優二 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (20226757)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ブタ / 精子幹細胞 / 精原細胞 / セルトリ細胞 / 器官培養 / 精子形成 / ブタ精子幹細胞 / 三次元培養 |
研究開始時の研究の概要 |
精子幹細胞は精子形成の源である。げっ歯類以外で幹細胞機能を維持したまま体外培養できない。精細管のセルトリ細胞による微小環境(ニッチ)を再現できないからである。研究代表者は、これまでブタ精原細胞マーカーについて研究し、95%以上の純度で単離する2通りの方法を確立し、RNA-seq解析で網羅的に発現遺伝子情報を明らかにした。受容体情報をもとにニッチを人為的に構築することで幹細胞を増殖できるようになると考えた。本研究では、精子幹細胞を取り囲むセルトリ細胞ニッチを3次元培養により再現し、体外増殖させる器官培養系を構築することで、家畜生産性の向上や種の保存、ヒト生殖医療へ応用するための一助とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、ブタセルトリ細胞と精原細胞の3次元的な精細管環境を再現することにより、幹細胞ニッチを再構築することを目標に、2023年度は以下のことを明らかにした。 1.注射筒-密度勾配遠心システムによるブタセルトリ細胞の分離 精巣からのセルトリ細胞の単離が予想以上に困難であった。注射筒-密度勾配遠心システムを汎用品を用いて自作し、さらに細胞の採取方法について検討した。精巣は様々な細胞で構成されているが、精細管は生殖細胞、セルトリ細胞、管周囲筋様(PTM)細胞から成る。そこでまず、精細管のみを採取する方法を検討した。酵素と網により精細管のみを採取し、PTM細胞を除去後、精細管の酵素処理により、セルトリ細胞と生殖細胞が得られた。不連続密度勾配遠心で死細胞や細胞デブリを除去し、2回目の連続密度勾配遠心により高純度のセルトリ細胞を採取できた。しかしながら、一部に精原細胞の混入が見られ、磁気ビーズなどでの細胞除去が必要と思われた。 2.コラーゲンゲル包埋ブタ精細管の灌流器官培養 寒天上にゲル包埋精細管を置き、培地を滴下する灌流装置を自作した。培地の液量は、ポンプをマイコンで制御した。ゲル包埋した幼若ブタ精細管を、Albumax、ホルモン類を添加した培地で5週間培養した。対照区は精巣組織片を寒天上で静置培養した。静置培養では、1 週間で外側組織のみが生存し、内部細胞は経過とともに死滅した。灌流培養では5 週間生存し、精細管直径は開始前に比べ大きく、細胞数も増加し生体の同一週齢と同様であったが、成熟精巣のような著しい増殖はなかった。Sox9陽性のセルトリ細胞は基底膜上に並んでいたが、2週および5週目では精細管の中側にも存在した。PGP9.5、VASA陽性の精原細胞は、5週目でも精細管内に存在し、基底膜上の精原細胞の割合は増えた。今後さらに培地組成や条件、期間など様々な要因を詳細に検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
幼若ブタ精巣からのセルトリ細胞の単離に躓いてしまったのが「遅れ」の一番の要因である。しかしながら精巣全体からセルトリ細胞を単離するのではなく、精細管のみをまず単離してから、管周囲筋様細胞を除去する手法に変換し、今まで以上に純度の高いセルトリ細胞を採取できた。一部に精原細胞の混入があるものの、磁気ビーズ等で除くことによりほぼ100%のセルトリ細胞を確保できるものと思われ、今後、研究の進展が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
1)成熟ブタセルトリ細胞の分離:出生直後の幼若ブタは性成熟に達しておらず、精巣ではまだ減数分裂や精子形成していない。そこで減数分裂や精子形成に関与している成熟ブタセルトリ細胞を、幼若ブタからの分離法を参考に、成熟ブタ精巣から分離する。 2)ブタセルトリ細胞のRNA-seq解析:セルトリ細胞の精子幹細胞へのパラクリン作用を明らかにするために、幼若および成熟ブタセルトリ細胞の発現遺伝子プロファイルをRNA-seq(外注)にて網羅的に解析する。 3)ブタ精細管の灌流器官培養と精子形成:自作した灌流器官培養装置システムを用いて、精巣より採取した精細管をより長期間(60日間)培養する。特に、分化誘導因子や減数分裂誘導因子を培地に加えることで、分化・減数分裂マーカーを指標に精子幹細胞の分化能について調べる。
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