研究課題/領域番号 |
21K05911
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
若林 嘉浩 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (00510695)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | フェロモン / 発情 / 繁殖 / GnRH |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類は様々な場面で匂いやフェロモンなどをコミュニケーションの手段として利用している。特に発情時のメスは多くのシグナルを周囲に放出していると考えられるが、分子自体は同定されておらず、その特性や具体的な効果などは明らかにされていない。そこで本研究では、反芻家畜であるヤギおよびウシが発情特異的に発散する分子の作用により誘起される行動変化や神経活動変化を指標とした生物検定系を確立し、これを利用してこれら分子の探索を行う。また、受容個体における受容部位や情報伝達経路を解明することで、反芻動物の発情時におけるコミュニケーション機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、哺乳類は様々な場面で匂いやフェロモンなどをコミュニケーションの手段として利用している。特に発情時のメスは多くのシグナルを周囲に放出していると考えられるが、分子自体は同定されておらず、その特性や具体的な効果などは明らかにされていない。そこで本研究では、反芻家畜であるヤギおよびウシが発情特異的に発散する分子の作用により誘起される行動変化や神経活動変化を指標とした生物検定系を確立し、これを利用して分子の探索を行う。また、発情シグナルの受容部位や情報伝達経路を解明することで、反芻動物の発情時におけるコミュニケーション機構を明らかにする。昨年度は、発情時に特異的に発散される分子あるいは顕著に発散量増減がみられる分子(発情シグナル分子)の活性評価のために、ウシの近縁種であるヤギを用いて発情シグナル分子により賦活化される部位と考えられる繁殖中枢(視床下部弓状核キスペプチン神経系)に記録電極を留置して神経活動変化を記録可能な検定系を確立した。この検定系を用い、発情時あるいは非発情時の尿あるいは腟周辺スワブなどを提示した際の神経活動変化を解析した結果、尿中に神経活動を上昇させる成分があることなどを明らかにした。本年度は、ウシ発情シグナル分子同定と検定系の確立のために、発情時期を同期化した黒毛和種より、発情前後数日間にわたって経時的に採取した腟粘液等の生体サンプルを用いて、各サンプル内に含まれる成分について、種々のガス検知管を用いた簡便な検出手法を検討した。その結果、尿中に存在する複数の成分について、特定のガス検知管による検出が可能であることを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の計画は、反芻動物が発情時特異的に発散する分子(発情シグナル)の同定、その分子の受容・脳内情報伝達機構をはじめとした作用機序解明、発情シグナル分子の検出手技の探索、を目的としてる。今年度は、前年度に確立した発情シグナルの生物検定系としてヤギ繁殖中枢神経活動を記録解析するシステムを用いて、ヤギ尿を提示した際に誘起される神経活動変化が、黄体形成ホルモン(LH)の分泌を伴っていることなどを明らかにすることができた。この結果から、この分子の脳内作用機序として、視床下部に伝達された情報によって下垂体からのLH分泌を促進するという作用機序を明らかにできた。一方、発情シグナル分子の同定については、黒毛和種より採取した発情前後の腟粘液などの分析用サンプルを利用して、発情シグナル分子検出のために、種々のガス検知管による検討を行った結果、牛尿サンプルを事前に加熱した状態で検出を行うことで、複数の分子の濃度を、ガス検知管で簡便に測定することが可能であることを明らかにした。これらの理由から、本研究課題は、おおむね順調に進捗していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
発情シグナルの同定について、採取した種々のサンプルを機器分析することにより、発情時特異的に発散されるものあるいは発情前後で含有量が顕著に変化する分子の探索を引き続き行う。サンプルが不足する場合には、随時発情前後の個体より各種サンプルを採取しつつ解析を行う予定である。発情シグナルの検出手技の検討については、引き続きガス検知管による検出法探索を進める。特に、昨年度、サンプルの加熱により濃度測定が可能であることがわかった分子にについて、発情時と非発情時のサンプル間で検出濃度に有意な差がでるか否かを詳細に検討する。また、分析により新たに発情シグナル分子が同定された場合には、その分子の特性により検知可能な手技の検討を行っていく予定である。
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