研究課題/領域番号 |
21K05913
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
笹岡 一慶 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (40846060)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 脳血管反応性 / 超音波検査 / 脳梗塞 / 高磁場MRI / 脳神経疾患 / 犬 / トランスレーショナルリサーチ |
研究開始時の研究の概要 |
脳循環の予備能力を示す脳血管反応性は、人で脳梗塞や認知機能不全のリスク因子となる重要な脳機能指標である。人での標準的検査法は、二酸化炭素負荷・灌流MRIであるが、獣医療において脳血管反応性検査法は未確立で、臨床研究は行われていない。本研究は、超音波を用いた臨床応用可能な非侵襲的脳血管反応性検査法を犬において確立し、今後の臨床研究に必要な検査法を提供することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は脳循環の予備能力を示す脳血管反応性に対して、高磁場MRIと超音波による脳血流の測定と負荷条件の検討を行い、超音波を用いた臨床応用可能な非侵襲的脳血管反応性検査法をイヌにおいて確立することを目的とした研究である。ヒトでは脳血管反応性は血管障害性疾患である脳梗塞のリスク因子に留まらず、認知機能不全や代謝性脳疾患、頭蓋内圧亢進症、片頭痛など様々の脳疾患で低下することが明らかとなっており、脳疾患の根底に存在する脳血管反応性について注目が集まっている。しかしながら、犬や猫を実験動物として利用した基礎研究が過去に行われたものの、獣医臨床で利用できる侵襲性の低い脳血管反応性検査法は検討されておらず、いずれの疾患犬においても脳血管反応性は明らかにされていない。研究の初年度に脳血管反応性検査法の条件検討に着手する計画であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により実験健常犬の確保に当初の想定を大幅に超えて時間がかかってしまっていた。昨年度半ばより実験健常犬を確保でき、本実験を開始、脳血管拡張薬であるアセタゾラミドを用いた脳血管反応性検査を実施した。申請時の投与量以外の投与量に関する検討と反応時間に関する検討を行い、犬において適正に検査ができるプロトコルを見いだすに至った。このプロトコルの再現性について検討を行い、本結果について報告を行う準備を現在進めている。本研究により、獣医臨床で利用できる検査法を確立するということは、実験動物としての犬だけではなく、自然発症の疾患犬を対象にできるということであり、人と動物が同じ疾患を持ちながらも、異なる特性を持つことに着目する概念は、汎動物学として近年着目を浴びており、互いの疾患に対する病態解明や発症要因、新たな治療法に迫る手がかりとなり得る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に新型コロナウイルス感染症の影響により実験健常犬の確保に当初の想定を大幅に超えて時間がかかり、昨年度から本格的な実験検討に着手ができた。さらに、脳血管拡張薬であるアセタゾラミドを用いた脳血管反応性検査を実施したところ、申請時の投与量以外の検討を行う必要が生じた。申請時の投与量はヒトの脳血管反応性検査を外挿したものであり、犬特有の反応特性、行動的変化にも着目する必要が生じたためであった。これらの検討については一区切りがつき、プロトコルの再現性の検討を進めると共に報告を行う準備を現在行っている。
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今後の研究の推進方策 |
実験健常犬に対して、これまでの検討で決定した臨床的に許容可能な投与量と計測時間を用いて、検査の再現性を検討する。これを海外の学術雑誌に投稿し、臨床応用可能な脳血管反応性検査の確立を目指す。
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