研究課題/領域番号 |
21K05918
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
村端 悠介 鳥取大学, 農学部, 准教授 (30734743)
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研究分担者 |
神田 鉄平 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (80516998)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | α2アドレナリン受容体作動薬 / カルシウム拮抗薬 / メデトミジン / ニカルジピン / フェンタニル / ドブタミン / デクスメデトミジン / ブトルファノール / ミダゾラム |
研究開始時の研究の概要 |
α2アドレナリン受容体作動薬は、呼吸抑制が軽度であり臓器保護効果を有する可能性がある。伴侶動物臨床では、α2アドレナリン受容体作動薬により顕著な循環抑制作用が生じることから健康な動物に限定して使用されているが、近年、研究代表者は、α2アドレナリン受容体作動薬の循環抑制作用が、血管拡張薬であるCa拮抗薬の併用投与により改善することを明らかとした。 本研究では、伴侶動物におけるα2アドレナリン受容体作動薬とCa拮抗薬の併用効果を従来の鎮静、麻酔法と比較検討し、臨床研究により獣医臨床症例における有効性を評価することで、より生体への負担の少ない周術期管理方法を確立する。
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研究実績の概要 |
α2アドレナリン受容体作動薬であるメデトミジンやデクスメデトミジンは、犬では血管収縮に伴う徐脈と心拍出量減少が生じるが、カルシウム拮抗薬であるニカルジピンの血管拡張作用により調節が可能である。 本年は、犬臨床症例において、メデトミジン10 μg/kgとニカルジピン20 μg/kgの混合静脈内投与を麻酔前投薬として使用した際、フェンタニルなどの麻薬性オピオイドを投与する外科手術における臨床的有効性を評価した。その結果、両薬剤を麻酔前投薬として投与した場合、中等度から重度の鎮静効果が得られることから、麻酔導入前から動物のハンドリングや酸素化が容易になること、投与初期に血管収縮が生じないことから、麻薬性オピオイドによる徐脈の予防としてのアトロピン投与が可能となること、従来のメデトミジンによる麻酔導入薬、麻酔維持薬の減少効果は概ね同様に得られることが明らかとなった。一方で、麻酔前投薬としてアトロピンも投与した場合、単回投与におけるニカルジピンの作用時間が短いことから、アトロピンの効果とメデトミジンの血管収縮作用が残存している間は、多くの症例でニカルジピンの追加投与が必要となった。 そのため、メデトミジンとニカルジピンを麻酔前投薬として投与した後、麻薬性オピオイドやドブタミンなどのカテコラミンの持続静脈内点滴と併用して、ニカルジピンの持続静脈内点滴を実施した。その結果、メデトミジンとニカルジピンを麻酔前投薬として使用した場合、およそニカルジピン20-100 μg/kg/hrの投与量で手術時の血圧を適切に調節することが可能になること、カテコラミンを投与している場合も、血管収縮作用のあるメデトミジンを併用できること、外科手術の侵襲により予期せぬ高血圧が生じた際、ニカルジピンの投与により迅速に血圧を低下させて対応が可能となることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症による研究の遅れが本年も継続している。 また、共同研究先である岡山理科大学獣医学教育病院の臨床研究における実施体制の構築に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本年の研究により、犬においてメデトミジンとニカルジピンによる周術期管理を行う際は、ニカルジピンの持続静脈内点滴が臨床症例においても有効であることが明らかとなった。 両薬剤は循環動態に強く影響することから、単剤と比較し相互の薬物動態に大きく影響する可能性がある。本年の検討により、犬血漿におけるメデトミジンの有効成分であるデクスメデトミジンとニカルジピンの同時測定法を確立したことから、次年度は、両薬剤併用時のそれぞれの薬剤の薬物動態を明らかにすることで、より適切な周術期の投与法を確立する。 臨床研究に関しては、共同研究先との調整が終了し、現在は症例のデータを蓄積しているため引き続き検討を進める。
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