研究課題/領域番号 |
21K05921
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
三澤 尚明 宮崎大学, 産業動物防疫リサーチセンター, 特別教授 (20229678)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | カンピロバクター / 鶏肉 / 付着因子 / 食中毒 |
研究開始時の研究の概要 |
カンピロバクターは国内外の主要な細菌性食中毒の原因菌で、鶏肉とその関連食品が原因食品として重要視されている。カンピロバクターを保菌した鶏が食鳥処理場に搬入されると、食鳥と体全体が菌に汚染されるため、その付着メカニズムの解明と制御法の確立が喫緊の課題である。研究代表者らは、菌体側と鶏宿主側に特異的に結合する付着因子が存在するとの作業仮説を立て、両者から複数の蛋白質を検出・同定した。本研究課題では、菌体表面に発現する多糖体などの蛋白以外の付着因子を検索・同定する。そして、菌体が皮膚表面に存在する付着因子と特異的に結合するメカニズムとその生物学的意義を解明する。
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研究実績の概要 |
カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)は国内外の主要な細菌性食中毒の原因菌で、鶏肉とその関連食品が原因食品として重要視されている。 農場でC. jejuniを保菌した鶏が食鳥処理場に搬入されると、食鳥と体全体が菌に汚染されるため、その付着メカニズムの解明と制御法の確立が喫緊の課題である。本研究課題では、C. jejuniと鶏と体皮膚 の付着に関与する菌体側の非蛋白の付着因子の存在を明らかにし、これまでに同定した菌体蛋白も含めた皮膚との付着機序とその生物学的意義を解明することを目的としている。C. jejuniの外膜に発現する非蛋白の構造物は、莢膜、リポオリゴ糖(LOS)である。また、リン脂質はLOSと莢膜を橋渡ししていることが報告されている。平成3年度に莢膜の輸送蛋白をコードする遺伝子(kpsM)リン脂質の生合成酵素をコードする遺伝子(pldA)のノックアウトミュータントを作製した。平成4年度は、これらの変異株に加え、鞭毛欠損変異株(flaA、flaB)、運動性欠損変異株(motA)、外膜蛋白(peb1)欠損変異株を作製し、腸管細胞の付着性に関与する自発凝集活性とブロイラー皮膚への付着性を比較した。その結果、変異株のうち、鞭毛欠損株のみ自発凝集活性が認められなかったが、その他の変異株は野生株と同様高い自発凝集活性が認められた。ブロイラー皮膚に対する付着性については、kpsM欠損株とpldA欠損株の皮膚への付着菌数が野生株とその他の欠損株に比べ有意に減少した。pldA欠損株は、kpsM欠損株と同様に莢膜が発現していないことは、莢膜を検出するアルシャンブルー染色とウェスタンブロッティングにより確認された。以上の結果から、C. jejuniの莢膜が、ブロイラー皮膚の付着因子として重要な役割を果たしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたCampylobacter jejuni 81-176株の菌体外に発現する莢膜、リン脂質、鞭毛、運動性、PEB1外膜蛋白の欠損株作出に成功した。さらに、C. jejuni 81- 176株の野生株と各種変異株の鶏皮膚への付着試験を実施し、菌体外に発現する非蛋白構造物である莢膜が皮膚に対する付着能を有することが示唆された。今回得られた知見は、鶏皮膚に対する菌の付着因子としては初めてのものであり、C. jejuniによる鶏肉汚染を食鳥処理場で制御するための技術シーズになりうることから、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
莢膜欠損変異株が鶏皮膚に対する付着因子であることが示唆されたことから、kpsM変異株の相補試験を行い、莢膜を再発現させた場合の付着試験を実施して、莢膜が皮膚に対する付着因子であることを再確認する。カンピロバクターにおいては、相補試験を行うための当該遺伝子の再挿入が難しいとの報告があるため、その場合は莢膜を分離精製し、競合法による付着試験を実施する予定である。
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