研究課題/領域番号 |
21K05938
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
今村 守一 宮崎大学, 医学部, 准教授 (10391442)
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研究分担者 |
岩丸 祥史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, グループ長 (20355142)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | プリオン / BSE / PMCA / 試験管内増幅 / 牛海綿状脳症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は従来型牛海綿状脳症(定型BSE)の起源を明らかにすることを目的とする。研究には、PMCAと呼ばれる試験管内でプリオンを増幅できる技術を用いる。まず、定型BSEが反芻動物間の異種間伝達により生じた可能性を探るため、様々な反芻動物プリオンをシードとし、異種反芻動物プリオン蛋白質を基質としてPMCAを行い、定型BSEプリオンが生じるかを調べる。また、定型BSEは孤発的に発生した可能性も否定できない。そこで、牛組換えプリオン蛋白質を基質としたシードプリオンを加えないPMCA法により牛組換えプリオンを自発生成させ、定型BSEプリオンの性状と比較することで孤発的発生の可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
昨年度H-BSEプリオンを鋳型、ヒツジPrPC過発現マウス(TgOv)脳乳剤を基質にしたPMCAにより、3種類の異なるバンドパターンのプロテアーゼ抵抗性PrP(PrPres)が増幅し、そのうちのひとつは定型BSE(C-BSE)プリオンを鋳型として増幅したヒツジPrPresと非常によく似ていたという結果が得られた。今年度、TgOvマウスを使ったバイオアッセイを行った結果、3種類のPrPresのうち2つは明確な症状を示さなかったが、接種マウス脳にPrPScの蓄積が認められた。次に、C-BSEプリオンを鋳型として増幅したヒツジPrPresとよく似たバンドパターンを示したPrPresを接種したTgOvマウスは典型的なプリオン病の症状を呈した。発症TgOvマウスの病理学的・生化学的解析から脳内に蓄積したC-BSE様H-BSEヒツジPrPScは、C-BSEヒツジPrPScと非常によく似ていた。このことは、ヒトに伝達しないH-BSEプリオンがヒツジに伝達した場合、ヒトに伝達可能なC-BSE様プリオンに変化することを示唆する。 昨年度非定型スクレイピーを鋳型としてウシPrPC過発現(TgBo)マウス脳乳剤を基質としたPMCAでは、PrPresの増幅は認められなかったことを報告した。今年度、PMCA反応液にアルギニンエチルエステルを加えることで、非定型スクレイピーを鋳型としたPMCAでPrPresの増幅が認められた。生化学的解析により増幅した非定型スクレイピーウシPrPresは、H-BSEウシPrPresと非常によく似ていた。この結果は、非定型スクレイピーをTgBoマウスに接種することでC-BSE様プリオンが増幅したという過去の報告とは異なっていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究は全体的には計画通りに進んでいるが、バイオアッセイが遅れている。接種可能なサンプルはあるが、まだ接種に至っていない。来年度BSL3レベルのバイオアッセイが可能な施設をもつ研究協力者に依頼し、バイオアッセイを行う予定である。また、PMCA産物および脳内に蓄積したPrPScの生化学的解析は順調に進んでいる一方で、免疫染色等の病理学的解析が遅れている。研究代表者は病理学的解析の経験がなく、研究室に解析に必要な機器も揃っていなかったため、機器の購入から手技の習得を行っていたことが遅れの原因である。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね研究は計画通りに進んでいるため、当初の方向性で研究を進めていく予定である。
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