研究課題/領域番号 |
21K05939
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
川手 憲俊 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (80221901)
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研究分担者 |
西村 亮 鳥取大学, 農学部, 准教授 (20704901)
原山 洋 神戸大学, 農学研究科, 教授 (30281140)
古山 敬祐 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 准教授 (50611026)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | INSL3 / サンドイッチ時間分解蛍光免疫測定 / 黒毛和種雌ウシ / 成長 / 超音波画像検査 / 卵胞 / 精子 / INSL3受容体(RXFP2) / 雌ウシ / 黄体 / 卵胞嚢腫 / 蛍光免疫測定法 / 生殖器 / 生殖細胞 / 受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では雌ウシの卵巣・血中INSL3の分泌動態を明らかにするとともに、INSL3の標的生殖器・生殖細胞の同定と役割解明を目的として、1)雌ウシの正常な卵胞・黄体と嚢腫卵胞のINSL3分泌能解析、2)正常雌ウシと卵胞嚢腫牛の血中INSL3濃度の動態、3)雌ウシ生殖器におけるINSL3受容体の発現解析、4)雌ウシ生殖器の各種細胞や精子におけるINSL3の役割解明を実施する。本研究によって雌ウシのINSL3の分泌動態や標的生殖器・生殖細胞と役割が判明し、卵巣機能診断や繁殖性向上に有益な情報がえられる。
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研究実績の概要 |
2022年度は、2)の正常雌ウシと卵胞嚢腫牛の血中INSL3濃度の動態解析を継続・完了するとともに、3)の雌ウシ生殖器におけるINSL3受容体の発現解析、および4)の雌ウシ生殖器と精子・卵子におけるINSL3の役割解明の研究の一部に着手した。 2)については、前年度に確立したウシINSL3のサンドイッチ時間分解蛍光免疫測定法を用いて正常雌ウシおよび卵胞嚢腫牛の血漿INSL3濃度を測定した。その結果、正常な黒毛和種雌子ウシ(0~8ヵ月齢)のINSL3濃度は低値であるが、未経産牛(10~26ヵ月齢)では増加し、子ウシに比較して有意に高い値を示した(P<0.05)。また経産牛(27~200ヵ月齢)のINSL3濃度は未経産牛よりも高値を示した(P<0.05)。一方、黒毛和種成熟雌ウシの卵胞期(排卵同期化処置(Ovsynch+CIDR法)開始9日目)、排卵直後(11日目)および黄体期(17日目)の血漿INSL3濃度は有意な変動は観察されなかった。また卵胞嚢腫牛の血漿INSL3濃度は卵胞期のそれと比較して有意差はみられなかった。上記の子ウシと一部の経産牛の卵巣の超音波画像検査を行って、血漿INSL3濃度との相関性を調べた結果、個体の全卵胞の総体積とINSL3濃度には有意な正の相関性が観察された(P<0.05)。これらの結果から、雌ウシの血中INSL3濃度は子ウシから経産牛までの成長過程で増加すること、およびINSL3濃度は卵巣の総卵胞体積の指標となる可能性が示唆された。 3)と4)の課題については、まず精子に発現するINSL3受容体(RXFP2)解析法の予備的検討を行った結果、市販の抗ヒトRXFP2抗体を用いる免疫染色法を応用できることが確認された。その方法で正常精液の精子を解析した結果、同受容体は頭部の先体、赤道節、後赤道節領域と頚部に発現することが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の当初の目標は、2)の正常雌ウシと卵胞嚢腫牛の血中INSL3濃度の動態解析を継続するとともに、3)の雌ウシ生殖器におけるINSL3受容体の発現解析、および4)の雌ウシ生殖器と精子・卵子におけるINSL3の役割解明、の研究を開始すること、であった。上記の研究実績で示したように、2)の課題は当初の計画以上に進展して全ての目標を達成した。一方、3)と4)の課題については、ウシ精子のINSL3受容体発現解析には進展があったが、2022年度は2)の課題の完了を優先したこと、および雌ウシ生殖器の入手先の選定に時間がかかったために、雌生殖器の解析は次年度以降に繰越すことになった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度以降の推進方策については、3)の雌ウシ生殖器におけるINSL3受容体の発現解析、および4)の雌ウシ生殖器と精子・卵子におけるINSL3の役割解明、の研究を行う。2023年度には、3)の雌ウシ生殖器(卵巣、卵子、卵管等)の材料採取を開始するとともに、INSL3受容体解析の一部に着手する。4)については、精子運動性および受精能獲得におけるINSL3の役割を解明する実験を行うとともに、卵子成熟、受精および胚発生におけるINSL3の役割解明にも取り組む。
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