研究課題/領域番号 |
21K05959
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
|
研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
東 泰孝 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (50298816)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | IL-19 / 急性膵炎 / L-アルギニン / オートファジー / 慢性膵炎 / 膵炎 |
研究開始時の研究の概要 |
膵臓におけるIL-19の免疫学的役割については、全く理解されていない。そこでIL-19の膵免疫システムにおける新しい視座を与えることを目的として、IL-19遺伝子欠損マウスおよびマクロファージ特異的IL-19トランスジェニックマウスを用いて急性膵炎、慢性膵炎および自己免疫性膵炎の各モデルを作製し、病態の発症や進行におけるIL-19の機能を明らかにすることで、IL-19が膵疾患の予防や治療における診断マーカーとなる可能性について追究する。また、リコンビナントIL-19あるいはIL-19に対する中和抗体を用いた治療実験を行うことで、IL-19が膵疾患の新規創薬標的となる可能性についても追究する。
|
研究実績の概要 |
今年度は、急性壊死性膵炎モデルを用いて解析した。野生型マウス(WT)およびIL-19遺伝子欠損マウス(KO)を、L-アルギニンを、4.5 g/kgを1時間間隔で2回腹腔内投与により膵炎モデルを誘発させた。3日後に心採血により血清の採取を行い、膵臓を採材した。血清は膵組織傷害マーカーであるアミラーゼ測定に供した。膵組織はHE染色、免疫染色による組織学的評価、および定量リアルタイムPCRによるmRNA発現量解析に供した。 血清アミラーゼ値は、WTに比べてKOで有意な増加が認められた。HE染色を施した組織像を用いて、膵組織傷害と炎症を評価するために炎症細胞浸潤、膵腺房細胞の壊死、および間質性水腫についてそれぞれ4段階でスコアリングを行った。炎症細胞浸潤と膵腺房細胞の壊死については両群間に差は認められなかったが、間質性水腫では、有意ではないもののKOでスコアの増加が認められた。次に、血清アミラーゼ値とスコアの相関を調べたところ、WTでは2つの要素に相関はみられなかったが、KOでは有意な相関が認められた。続いて、炎症性サイトカインのIL-6 mRNA発現量は有意でないがWTに比べてKOで増加傾向がみられ、TNF-a mRNA発現量は有意な増加がみられた。さらに、IL-19のmRNA発現量を調べた結果、WTでは未処置群とL-アルギニン投与群のどちらにおいても発現が認められたが、IL-19の発現量については明確な差はみられなかった。膵炎の発症に関与することが報告されているオートファジー関連因子であるLC3Bおよびp62について免疫染色により評価した結果、両因子ともにWTとIL-19 KOの間で顕著な差はみられなかった。以上の結果より、膵炎発症に際してIL-19は保護的に働く可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去2年度においては、慢性膵炎モデルの解析で少々思うように進行はしていなかったものの、L-アルギニンを用いた急性膵炎モデルにおいて、IL-19遺伝子欠損マウスを用いた解析により、表現系の相違を見いだすことができた。本結果よりIL-19は急性炎症において、抗炎症作用を有する可能性を示すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
急性膵炎は種々の原因により生じる疾患であることから、最終年度は、L-アルギニンとは別の機序によるセルレイン誘発性急性膵炎モデルを用いて、IL-19の機能的役割を明らかにしたい。
|