研究課題/領域番号 |
21K05974
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
佐伯 法学 愛媛大学, 学術支援センター, 講師 (80791607)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 関節炎 / マクロファージ / エストロゲン受容体 / 性差 / scRNA-seq / 関節リウマチ / 組織マクロファージ / 性ホルモン |
研究開始時の研究の概要 |
関節リウマチは難治性の自己免疫疾患である。罹患率は女性で高く、明確に性差が認められる疾患であるが、性差のメカニズムは大部分が不明である。免疫細胞の一つであるマクロファージ(Mφ)は多様なサブポピュレーションをもち、関節リウマチ病態の増悪に深く関わっているが、性差がMφに及ぼす影響については不明である。本研究は、関節リウマチに生じる性差を、滑膜Mφのサブポピュレーションに発現する性ホルモン受容体(特にERα)の機能の観点から調べ、関節リウマチ病態にどの様な影響を及ぼすか明らかにする。性差の分子機構が明らかになれば、関節リウマチの新たな治療・予防法の開発につながることが期待される。
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研究実績の概要 |
我々は、関節リウマチ病態に生じる性差をマクロファージのERαシグナルに着目して解析を進めている。これまでにmyeloid cell特異的ERα欠損マウス (ERαΔLysM)を用いて、①滑膜マクロファージに発現するERαは女性ホルモン依存的に関節炎病態を増悪すること、②ERαシグナルは細胞内代謝を介して活性化した滑膜マクロファージのアポトーシスを誘導することを明らかにしてきた。本年度は以下のことを明らかにした。 ERαリガンドの17β-Estradiol(E2)は関節炎病態を抑制すると考えられている。卵巣摘出(OVX)を行い、E2ペレットを腹部皮下に包埋したところ、既報の如く関節炎はE2濃度依存的に抑制された。しかしながら、OVXマウスの後肢皮下にE2ペレットを包埋したところ、関節炎は有意に悪化することを明らかにした。このことから、E2は全身と局所で異なる作用があることが示唆された。E2はTestosteroneがAromataseで代謝されることで産生される。E2の大部分が卵巣で産生されるが、一部脂肪組織からも作られるため脂肪が局所でのE2のリソースとなる可能性がある。そこで、脂肪細胞特異的Aromatase欠損マウス (ERαΔaP2)を作出し、OVXを行った後に関節炎を誘導した。その結果、OVXの有無に関わらずERαΔaP2はERαflox/floxと比較して関節炎が有意に減少することが明らかとなった。 以上より、研究期間全体を通して、関節局所の脂肪組織由来E2によって活性化された滑膜マクロファージのERαシグナルは細胞内代謝を介してアポトーシスを誘導し、関節炎病態増悪に寄与することが示唆された。
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