研究課題/領域番号 |
21K05976
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
齋藤 実里奈 (細谷実里奈 / 細谷 実里奈) 酪農学園大学, 獣医学群, 助教 (80848797)
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研究分担者 |
市居 修 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (60547769)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 卵管 / 卵子pick-up / 自己免疫疾患 / ヘッジホッグシグナル / マウス / 不妊症 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで我々は、排卵された胚を卵管内へ誘導できない卵管ロートの病態”pick-up障害”に、卵管の炎症および線毛上皮の恒常性の破綻が関与することを明らかにした。さらに、pick-up障害を呈する卵管ロートでヘッジホッグシグナル伝達経路(Hh経路)の減弱化がみられることを発見した。本研究では、免疫異常と卵管線毛上皮の形態異常を繋ぐ分子基盤としてHh経路に着眼する。pick-up障害モデルマウスおよび繁殖障害を呈する産業動物の卵管の分子形態学的解析を通し、”免疫疾患による卵管炎⇔運動線毛のHh経路異常⇔卵管上皮の恒常性破綻→pick-up障害”という新たな不妊発症理論を検証する。
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研究実績の概要 |
これまで我々はマウスにおいて卵管ロートの運動線毛の形態機能異常が卵管のピックアップ機能・卵子輸送機能に影響を与えることを報告した。加えて、卵管上皮の形態異常にはFoxj1およびPax8などの卵管上皮の恒常性維持に関与する分子のほか、ヘッジホッグシグナル伝達経路関連分子の発現変化が関与することを報告した。 本年度は、生殖障害を呈する臨床症例の卵管形態を調査するため、産卵障害(卵墜症および卵塞症)を呈する採卵鶏の卵管上皮の組織形態を解析し、マウスにおいてみられた卵管機能異常に関与する病態が採卵鶏においても存在するか調査した。 500日齢以上の高齢採卵鶏を使用し、腹腔内に卵が存在した個体を卵墜症群、卵管内に2個以上の卵が存在した個体を卵塞症群、以上2つの所見がみられた個体を併発群、これら以外の個体を健常群と定義し、卵管の組織形態および上皮関連分子の発現を比較した。結果、健常群と比較し、卵墜症群、卵塞症群および併発群では、卵管全長において上皮を覆う線毛の割合が低く、加えて粘膜固有層における顕著なT細胞浸潤がみられた。加えて、線毛上皮細胞の分化に必須であるFoxj1の発現は、健常群と比較して卵墜群、卵塞群および併発群で発現量が低い傾向にあった。 以上より、採卵鶏の卵墜症および卵塞症の発症には卵管上皮における線毛上皮細胞の顕著な減少が関与することが示唆された。さらに、卵管における炎症およびFoxj1の発現低下が卵管線毛上皮の形態に影響を及ぼす可能性も示唆された。これはマウスにおける卵管機能異常に関与する卵管上皮の形態・分子発現異常と同一であり、臨床症例においても卵管の炎症および線毛上皮の形態異常が生殖機能において重要な病態であることが示された。
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