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血漿漏出を伴うデング出血熱マウスモデルを用いた重症化機序の完全解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K05981
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分42030:動物生命科学関連
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

黒須 剛  国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (70432432)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードデングウイルス / 重症感染症 / 全身性感染症 / 多臓器不全 / 血漿漏出 / サイトカインストーム / 出血熱 / 感染動物モデル / IL-6 / 免疫異常 / ウイルス性出血熱 / 感染症
研究開始時の研究の概要

デングウイルスの重症化には宿主免疫系の異常活性化、サイトカインストームが関与すると予想されている。しかし、なぜ免疫細胞の異常活性化が起こるか、不明である。COVID-19による重症化にはIL-6が重要だと考えられているが、デング重症化でも同様である。そもそも「なぜIL-6が過剰産生されるのか?」疑問である。我々はこれまである特定のT細胞集団から産生される物質が重要であることを明らかにした。次になぜ、どのようにこの特定のT細胞が活性化されるか解決することで、重症化の最も鍵になると考えられる部分を明らかにする。

研究実績の概要

本研究ではデング出血熱マウスモデルを用いて、サイトカインストームによる重症化機序解明を目的にしている。重症デング出血熱では感染によりなぜ免疫細胞の異常活性化が起こるか明らかではない。また他の重症感染症においても病原機序が明らかにされていない。我々はこれまである特定のT細胞集団から産生されるIL-17Aが重要であることを明らかにした。このモデルではTNF-αやIL-17Aシグナルに対する中和抗体による阻害により症状が軽減され、致死率が劇的に改善される。阻害効果は、転写レベルでの制御のためであることを明らかにした。この結果を国際誌に報告した。
これまで全身のI型II型インターフェロンレセプターがノックアウト(IFN-RKO)されたマウスを用いていたが、ウイルスを馴化させたことにより免疫的により強いミエロイド系(骨髄系)の細胞だけのI型インターフェロンレセプターだけがノックアウトされているマウス(LysM Cre+Ifnarflox/floxマウス)への感染により血漿漏出を起こす新規モデルの開発に成功した。1型と3型のマウス馴化デングウイルスの遺伝子配列をサンガー法と次世代シークエンサーにて解析した。強毒化したウイルスには遺伝子レベル、タンパク質レベルでの置換が見つかった。血清で馴化したウイルスは致死性を示さなかった。馴化する臓器により病原性に違いを与えるような因子があるのかもしれない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

免疫的により強いLysM Cre+Ifnarflox/floxマウスに致死性を示す馴化した2つのウイルスDV1-5P7Sp及びDV3P4Bmはそれぞれ1型、3型デングウイルスをマウス脾臓または骨髄に馴化することで作成した。馴化ウイルスの遺伝子配列を次世代シークエンサー(NGS)により解析したところ、多くの置換はquasispeciesとして存在することが分かった。もともとquasispeciesを持つウイルス集団として維持されていたウイルスが、継代により選択された可能性が示唆された。これはサンガー法で遺伝子配列決定したとは異なる結果となり、NGSの活用が必要であることが明らかになった。
組織切片の蛍光抗体法によりマウスでは、マクロファージ系細胞が主な感染標的細胞であることがわかった。また実際、馴化により骨髄での増殖能が上昇していることも確認している。そこで骨髄系細胞感染への重要性を確認するため、LysM Cre+Ifnarflox/floxマウスから得た感染性のある骨髄細胞を野生型マウスへ移植し、そのマウスにウイルスを感染させた。致死感染であることを期待したが体重減少も病態変化も認められなかった。トランスファーした細胞の定着率が不明であるため、この観察からだけでは結論付けられない。他の方法での確認が必要である。

今後の研究の推進方策

これまでの細胞集団を扱うバルク解析から多くの知見を得られた。しかし、実際にどのシグナルがどの細胞に効果があるかを明らかにするためには、シングルセルレベルでの解析も必要である。マウスモデルで最も病状(血漿漏出)が激しい腸管由来の細胞についてシングルセルレベルでのサイトカイン、ケモカイン、その他血漿漏出関連宿主因子とそれらの受容体発現、細胞の分化段階を観察することで、シングルセルレベルでの臓器全体での感染にたいする反応について解析することで、以下に血漿漏出が起ったかを明らかにする。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Mice, myeloid cells, and dengue: a new model for unraveling vascular leakage mysteries2024

    • 著者名/発表者名
      Kurosu T, Sakai Y, Ami Y, Shimojima M, Yoshikawa T, Fukushi S, Nagata N, Suzuki T, Ebihara H, Saijo M.
    • 雑誌名

      Front Microbiol .

      巻: 15 ページ: 1367672-1367672

    • DOI

      10.3389/fmicb.2024.1367672

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Dengue virus infection induces selective expansion of Vγ4 and Vγ6TCR γδ T cells in the small intestine and a cytokine storm driving vascular leakage in mice2023

    • 著者名/発表者名
      Kurosu T, Okuzaki D, Sakai Y, Kadi MA, Phanthanawiboon S, Ami Y, Shimojima M, Yoshikawa T, Fukushi S, Nagata N, Suzuki T, Kamimura D, Murakami M, Ebihara H, Saijo M.
    • 雑誌名

      LoS Negl Trop Dis .

      巻: 17 号: 11 ページ: 11743-11743

    • DOI

      10.1371/journal.pntd.0011743

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Chimeric flavivirus causes vascular leakage and bone marrow suppression in a mouse model2023

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Kurosu, Keiko Hanabara, Azusa Asai, Sabar Pambudi, Supranee Phanthanawiboon, Magot Diata Omokoko, Yusuke Sakai, Tadaki Suzuki, Kazuyoshi Ikuta
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun .

      巻: 659 ページ: 54-61

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2023.04.003

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 馴化デングウイルスを用いた新規致死性デング出血熱マウスモデル2023

    • 著者名/発表者名
      黒須剛、坂井祐介、奥崎大介、Mohamad Al Kadi、網康至、下島昌幸、吉河智城、永田典代、鈴木忠樹、西條政幸、海老原秀喜
    • 学会等名
      第70回日本ウイルス学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 新規致死性デング出血熱マウスモデルを用いた病原機序解析2023

    • 著者名/発表者名
      黒須剛、坂井祐介、奥崎大介、Mohamad Al Kadi、網康至、下島昌幸、吉河智城、永田典代、鈴木忠樹、西條政幸、海老原秀喜
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 致死性デング出血熱マウスモデルを用いたTNF-シグナル阻害による防御効果の分子機序解明2022

    • 著者名/発表者名
      黒須剛、奥崎大介、坂井祐介、Mohamad Al Kadi、下島昌幸、吉河智城、福士秀悦、永田典代、鈴木忠樹、海老原秀喜、西條政幸
    • 学会等名
      第69回日本ウイルス学会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Interleukin-17A released from intestinal γδT cells induces cytokine storm in mice with severe dengue2022

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Kurosu, Daisuke Okuzaki, Yusuke Sakai, Mohamad Al Kadi, Supranee Phanthanawiboon, Yasusi Ami, Masayuki Shimojima, Tomoki Yoshikawa, Shuetsu Fukushi, Noriyo Nagata, Tadaki Suzuki, Daisuke Kamimura, Masaaki Murakami, Hideki Ebihara, Masayuki Saijo
    • 学会等名
      第51回日本免疫学会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 致死性デング出血熱マウスモデルを用いた高サイトカイン産生誘導による重症化機序の解明2021

    • 著者名/発表者名
      黒須剛、奥崎大介、下島昌幸、吉河智城、髙松由基、西條政幸
    • 学会等名
      第68回日本ウイルス学会学術集会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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