研究課題/領域番号 |
21K05982
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
中村 和昭 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 薬剤治療研究部, 室長 (80392356)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | マイクロRNA / 下垂体 / 発生 / 細胞分化 / 下垂体前駆細胞 / iPS細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、マイクロRNA(miRNA)による遺伝子発現・翻訳制御機構と細胞分化・発生、疾患発症との関連が注目されている。本研究では、miRNAによる下垂体細胞分化調節機構の解明ならびにmiRNAのiPS細胞由来下垂体細胞分化誘導系への応用を目的とする。すなわち、下垂体をモデル器官としてmiRNAの細胞分化制御機構を検討し、下垂体細胞系譜の分化制御におけるmiRNAの機能を統合的に解析する。そのため、下垂体発生過程で発現するmiRNAを網羅的に検討し、同定したmiRNAの下垂体発生における役割をin vitro系および遺伝子改変マウスを用いて検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では、下垂体ホルモン産生細胞分化におけるmicroRNA(miRNA)の関与を明らかにし、これまで明らかにされている転写因子カスケードによる下垂体細胞分化に対してmiRNAがファインチューナーとして機能している可能性を検討することを目的としている。これまでの検討により、下垂体発生過程におけるmiRNAの発現変動および下垂体ホルモン産生細胞株を用いた分化・成熟化過程におけるmiRNAの発現変動を検討し、マウス胎生13日よりmiR-200cの発現が亢進し、下垂体pit-1細胞系譜(成長ホルモン産生細胞、プロラクチン産生細胞、甲状腺刺激ホルモン産生細胞の前駆細胞)へのmiR-200cの導入により、GH産生細胞への分化が誘導されることを見出した。miR-200cの標的遺伝子の一つであるZeb1はGH遺伝子発現を抑制することが知られているが、下垂体pit-1細胞系譜へのmiR-200cの導入はZeb1発現量を抑制することを明らかにした。さらに、下垂体原器が出現するマウス胎生11日目以降にmiR-200cを含む27miRNAの発現が亢進し、4miRNAの発現が減少することを見出した。近年、成熟下垂体内に下垂体前駆細胞が存在し、単離・培養することにより分化誘導が行えることが報告されている。本研究でも、下垂体から下垂体前駆細胞の単離・培養系を立ち上げ、下垂体前駆細胞からのホルモン産生細胞分化過程における、上記miRNAの発現変動の解析ならびにこれらmiRNAの導入や抑制による細胞分化への影響を検討している。引き続き、下垂体細胞分化におけるmiRNAの関与と作用点をより詳細に検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画時点では、申請者が保有する下垂体発生時期/細胞種特異的miRNA欠損マウスの解析により、miRNAの下垂体発生における機能を検討する予定であったが、研究実績の概要に記載したように、in vitroの検討から下垂体発生に関与するmiRNA候補が複数見出され、現在それらmiRNAの下垂体細胞分化における機能のin vitro系のおける解析に注力している。そのため、in vivoでの検討にやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で見出した下垂体発生に関与する可能性のあるmiRNAの下垂体ホルモン産生細胞分化における機能解析を、下垂体から単離・培養した下垂体前駆細胞や下垂体ホルモン賛成細部の細胞株を用いて解析する。これにより転写因子カスケードによって理解される下垂体ホルモン産生細胞分化制御にたいするmiRNAの関与を明らかにし、下垂体発生の分子機構の解明を目指す。
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