研究課題/領域番号 |
21K05987
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石田 紗恵子 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50777927)
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研究分担者 |
佐久間 哲史 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 教授 (90711143)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | てんかん / 遺伝子 / エピゲノム編集 / 疾患モデル動物 |
研究開始時の研究の概要 |
DEPDC5、NPRL2、NPRL3遺伝子の異常は、様々な焦点性てんかんに最も共通する遺伝的病因である。これら3遺伝子を前脳でKOしたconditional KOマウスは自発性てんかん発作を示す。また、RNAseq解析により、発作発症前に各cKOマウスに共通して発現が変化する遺伝子群が同定された。これらの遺伝子の発現変動は、てんかん発症に強く関与していることが推測される。 本研究では、遺伝子配列を書き換えることなく、特定の遺伝子の発現のみを制御できるエピゲノム編集技術を用いて、遺伝子の発現をcKOマウス脳内で制御することにより、てんかん発症機序を解明し、新たな予防・治療法の開発につなげる。
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研究実績の概要 |
てんかんは、人口の約1%に生じる頻度の高い神経疾患であるが、多くの場合は根本的な治療法がなく、抗てんかん薬を長期間服用する対症療法に頼らざるを得ない。GATOR1複合体を構成するDEPDC5、NPRL2、NPRL3遺伝子の異常は、様々な焦点性てんかんに最も共通する遺伝的病因である。我々はこれまでに、てんかん発作の原因となる神経異常興奮の好発部位である前脳錐体細胞特異的にDepdc5、Nprl2、Nprl3それぞれの遺伝子を欠失させたconditional KO(cKO)マウスを作製し、いずれのcKOマウスも、生後2週齢から自発性てんかん発作を示すことを明らかにした。抗てんかん薬ラパマイシンは、各cKOマウスに発作抑制効果を示した一方で、投薬中止後の効果はDepdc5 cKOマウスでは持続したものの、Nprl2 cKO及び、Nprl3 cKOマウスでは持続せず、てんかんが再発した。このことは、同じGATOR1複合体構成因子であっても、それぞれが、異なる発症機序を有している可能性を示している。 発症機序解明のため、本年度は、これまでに各cKOマウス脳におけるRNAseq解析で得られたデータを基に、pathway解析でNeuroactive ligand-receptor interactionに分類されている遺伝子の他、てんかん発症との関連が未報告の遺伝子に関しても詳細な発現解析を行った。結果、発作前に発現が有意に変動している遺伝子をDepdc5 cKOマウスで8遺伝子同定した。それに対して、Nprl2cKOでは2遺伝子、Nprl3cKOでは4遺伝子が変動するにとどまっていることが明らかになった。また、そのうち、全てのcKOマウスに一致して変動が見られた遺伝子は1つであった。本結果は、各cKOマウスの発作発症機序が異なることを遺伝子発現の点からも支持するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定通り発症機序に関与する遺伝子の同定に至ったが、当初の計画からは予定を変更して実施しているため、全体的な計画としては遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
予想されていなかった新しい知見が得られたため、当初の計画を変更して研究を実施しているが、今回得られた結果を基に遺伝子発現を操作し、発症にどのような影響を与えるかを明らかにしていく。
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