研究課題/領域番号 |
21K06000
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
舟崎 慎太郎 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特定事業研究員 (70794452)
|
研究分担者 |
馬場 理也 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 准教授 (10347304)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 転座型腎癌 / TFE3 / HIF1a / PRCC-TFE3 / Xp11.2転座型腎細胞癌 / Xp11.2転座腎細胞癌 / 疾患モデルマウス |
研究開始時の研究の概要 |
Xp11.2転座腎細胞癌は、転写因子TFE3の融合によるキメラ遺伝子(TFE3キメラ)によって引き起こされる、組織学的にユニークな腎細胞癌であるが、なぜTFE3キメラ遺伝子によって発癌するのかは不明な部分が多い。我々はTFE3キメラ遺伝子を腎臓に発現させたXp11.2転座腎細胞癌マウスモデルを作製し、その解析から低酸素応答経路の関与を見出した。本研究では、その詳しいメカニズムを明らかにし、その分子機構に基づく新たな転座腎細胞癌治療戦略を提唱することを目指す。
|
研究実績の概要 |
前年度からの結果によって、Prcc-Tfe3 KI・Hif1a欠損マウスを用いた遺伝子発現差と代謝解析を進め、その結果PRCC-TFE3はHIF1aの発現上昇を介してSREBP1を亢進させ、脂質合成へとつながる経路を制御するメカニズムが考えられた。そこで本年度では、そのHIF1a-SREBP1経路が脂質の蓄積をもたらすかどうかの検証と、癌細胞の悪性化との関わりについての解析を進めた。 まず、患者より樹立された転座型腎癌細胞株UOK124を用いて脂質の蓄積がPRCC-TFE3依存的であることをTFE3のノックダウンによって示した。shTFE3によって転座型腎癌では脂質の蓄積が減少し、さらにshHIF1aやshSREBP1でも同様に抑制が見られた。また、マウスモデルの腫瘍組織においても脂肪蓄積に関連するADFP:Adipose differentiation-related proteinの発現亢進が確認でき、この効果はHIF1a KOのよって減少することがわかったため、脂質の蓄積はHIF1a-SREBP1を介した経路によって生じることが示された。さらにUOK124を用いて足場非依存性増殖に関する実験を行ったところ、SREBP1のノックダウンによって、その増殖が抑制されることが示された。以上のことから、HIF1a-SREBP1経路は脂質合成経路を亢進し、転座型腎癌細胞の増殖に関与する可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HIF1aを介した細胞内の代謝変化がSREBP1による脂質合成経路の亢進にも重要な役割があると考えていたため、代謝フラックス解析を計画していたが脂質の蓄積に関する研究を中心に行ったためやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
脂質合成経路そのものががん細胞の足場非依存性増殖を制御することが示唆されたため、脂質合成経路に関する阻害剤などを用いたマウスレベルでのPRCC-TFE3転座型腎癌の治療効果があるかどうかの検証を進める。また、UOK124細胞株では、代謝変化についてもフラック解析などを含めて引き続き検討する。
|