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配偶核形成に必須の新奇なゲノム切断について,クロマチン再構築を伴う修復機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K06009
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分43010:分子生物学関連
研究機関東北大学

研究代表者

福田 康弘  東北大学, 農学研究科, 助教 (50527794)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードテトラヒメナ / DSB / タンパク質輸送 / ATG / オートファジー / Iswi / Rad5 / DNA修復 / クロマチン再構築 / エピジェネティクス / クロマチンリモデリング / 原生生物
研究開始時の研究の概要

本研究は,選択核だけが受けるクロマチン再構築を伴う DSB 修復について,その分子機構の解明を第一の課題とする。また,選択核へ施されるエピジェネティクス修飾の変化についても解析を進め,選択核が配偶核として獲得するゲノムの質的な特徴を明らかにする。これらの 2 つのアプローチから,仮説を検証する。

研究実績の概要

原生生物の繊毛虫テトラヒメナは機能的かつ構造的に分化した二種類の核(大核と小核)を一つの細胞内に備える.大核のゲノムは再配列かつ多倍体化しており,効率的な遺伝子発現を実現している.一方,小核は転写活性をもたず,生殖核として2n=10のゲノムを保持する.そして接合とよばれる有性生殖では,小核は減数分裂を伴う配偶核形成を行い,二つの配偶核の融合から生じる受精核が新たな世代の大核と小核を作る.小核が配偶核へと分化する過程では,ゲノム全域のユークロマチン化を伴うクロマチン再編成が起こる.これまでの解析から,遺伝的にプログラムされた DNA 切断が減数分裂後の小核ゲノムへ導入され,生じた DNA 損傷の修復がゲノムのユークロマチン化をもたらすこと,また DNA 損傷応答では Iswi と Rad5 が重要な役割を果たすことを明らかにしている.今回,配偶核ゲノムのクロマチンリモデリングに携わる DNA 損傷応答として,相同組換え機構が関わることが示唆された.一般的に,相同組換えによる DNA 修復は損傷部位から 3'と 5'の両方向の広い領域へデノボヌクレオソームアッセンブリをもたらすことが知られている.相同組み換え系による DNA 修復が遺伝的にプログラムされた DNA 損傷応答に携わることは,配偶核への分化と関わるゲノムのユークロマチン化(ゲノムリプログラムニング)を速やかに進めることに寄与していると予想される.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

減数分裂を経ると小核から 4 つの半数体核が生じる.これらのうち選ばれた 1 核だけが配偶核となり,他の 3 核は分解される.興味深いことに DNA 切断は 4 つ全ての半数体で生じるが,ユークロマチン化をもたらす DNA 修復はやがて配位核となる選択核だけが受ける.この DNA 修復では DNAPKcs などのシグナル因子,Snf2 タンパク質などのクロマチン再編成複合体.また相同組換え修復因子など,非常に多様なタンパク質が働くことがわかってきた.そして「選択核だけ」が DNA 修復を受けることから,リソースを集約して配偶核形成を効率的に進める「しくみ」が存在することが新たに示唆された.そこで本研究の新たな課題として,DNA 修復とクロマチン再編成に携わる分子が選択核へ集約的に運搬される機構の解析を進めることにした.まずクロマチン再編成因子複合体や DNA 修復因子を選択核へ運搬するトランスポーターを免疫沈降などから特定することを試みたが,この機構に携わるようなタンパク質を特定するには至らなかった.そこで,非選択核だけがオートファジーで分解される点に注目して,接合初期におけるテトラヒメナ ATG ファミリーの挙動を解析することを試みた.ゲノム情報の解析から.テトラヒメナがもつ ATG ファミリータンパク質のいくつかには機能調節に関わることが予想される長いテイルが発見された.現在,構造的特徴をもつテトラヒメナの ATG ファミリータンパク質について,それらの機構解析を進めている.

今後の研究の推進方策

テトラヒメナの接合では,ATG を介する典型的な分子機構のオートファジーが非選択核の分解に寄与すると予想されている.テトラヒメナのゲノム情報を詳しく調べると,ATG ファミリーの欠失,長いテイルの付加など,テトラヒメナの ATG ファミリータンパク質は非典型的な性質を有することがわかった.これらの非典型的な性質が接合における選択的オートファジーに寄与する可能性がある.そこで欠失した ATG ファミリータンパク質の機能を補完している分子の特定,また長いテイルの機能性について解析を進めることを計画した.具体的には,欠失を補完するタンパク質を特定するため,ATG 系の調節に携わる複合体を免疫沈降で回収し.その構成因子の特定とそれらの機能解析を進める.また ATG ファミリーのテイルの機能性は,その部分欠損を導入した細胞を作成し,接合における選択核と非選択核の挙動を解析する.これらからテトラヒメナの接合における選択的な核輸送のメカニズム解明を進める.

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [国際共同研究] York University/Toronto metropolitan University(カナダ)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Snf2 Proteins Are Required to Generate Gamete Pronuclei in Tetrahymena thermophila2022

    • 著者名/発表者名
      Fukuda Yasuhiro、Akematsu Takahiko、Bando Hironori、Kato Kentaro
    • 雑誌名

      Microorganisms

      巻: 10 号: 12 ページ: 2426-2426

    • DOI

      10.3390/microorganisms10122426

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 繊毛虫テトラヒメナから発見された非典型的な二次構造をもつオートファジー関連 因子 ATG122023

    • 著者名/発表者名
      Yun D Bai、福田 康弘、Xiaoxia X Lin、Zhang Sidi、加藤 健太郎、彦坂 健児、水島 昇、坂本 寛和
    • 学会等名
      PPEZ2023(日本原生生物学会 第56回大会)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] テトラヒメナから発見された二次構造パターンがシャッフルされた非典型的オートファジー関連因子ATG122023

    • 著者名/発表者名
      福田 康弘, 白 芸, 林 暁霞, Zhang Sidi, 加藤 健太郎, 彦坂 健児, 水島 昇, 坂本 寛和
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 繊毛虫テトラヒメナの二価染色体形成における Snf2 様タンパク質の役割2021

    • 著者名/発表者名
      福田康弘,明松隆彦,岩本政明,伴戸寛徳,加藤健太郎
    • 学会等名
      第44回 日本分子生物学会年
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] テトラヒメナの二価染色体形成における減数第一分裂前期特異的タンパク質 Mep1 の役割2021

    • 著者名/発表者名
      福田 康弘,明松 隆彦,岩本 政明,伴戸 寛徳,加藤 健太郎
    • 学会等名
      第54回日本原生生物学会大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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