研究課題/領域番号 |
21K06022
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
石井 浩二郎 高知工科大学, 理工学群, 教授 (40360276)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | セントロメア / 減数分裂 |
研究開始時の研究の概要 |
染色体は生命の設計図であるゲノムを担う生体高分子で、生物の間で世代を越えて引き継がれる。動原体は染色体のセントロメア上に形成される構造で、染色体の次世代伝達に必須である。しかし動原体/セントロメアは、染色体の異なる位置にも生じうる。本研究では、一過的に二つの動原体をもった染色体におけるセントロメア競合を再現する細胞アッセイを分裂酵母を用いて構築し、相同な染色体の異なる位置に形成された二つのセントロメアのいずれか一方が次世代へと効率よく伝達され、進化的な定着に至る分子メカニズムの解明に取り組む。
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研究実績の概要 |
セントロメアは進化において頻繁に染色体上の再配置を起こす。しかし、染色体上の異なる位置の新しいセントロメア(ネオセントロメア)が均一な生物集団の中に出現した場合、そのネオセントロメアをもつ生物は従来セントロメア生物とのヘテロな減数分裂を避けられない。進化でセントロメア再配置が検出されるということは、ヘテロな減数分裂で生じる致死的な二動原体染色体においてネオセントロメアが安定性を獲得(セントロメア競合)し、次世代に効率よく継承されることを意味する。しかし、この二動原体染色体におけるセントロメア競合の実体や詳細は全く理解されていない。本研究では、分裂酵母を用いてセントロメア競合を人工的に再構築し、その実体と分子メカニズムの解明を行う。これにより、セントロメアが進化の中で柔軟に再配置する意義の理解を深める。 この目的の達成に向けて、本研究では「セントロメア競合アッセイの確立」「セントロメア定着の促進因子の同定」「セントロメア定着の分子メカニズムの解明」という3つの課題に取り組む計画を立てた。当該年度はこのうち主に、「セントロメア定着の分子メカニズムの解明」について重点的に研究を進めた。その結果、特定のセントロメアに固有な競合欠損の原因として、セントロメアとセントロメアに隣接するテロメアヘテロクロマチンの間の距離が重要であることが判明した。分裂酵母のテロメアヘテロクロマチン形成にはRNA干渉機構に関して独自の介入経路があり、それらのセントロメア競合への関与についても詳細な解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画どおり、本研究ではマーカー遺伝子発現と蛍光タンパク質局在化を組み合わせたセントロメア競合アッセイを分裂酵母に完成させ、蛍光顕微鏡の画像取得自動化を介したアッセイの定量化にも成功してきた。しかし、様々なヘテロクロマチン関連遺伝子変異とこのアプローチに組み合わせていくと、過去に取得したデータの再現性や同様の細胞効果を示す異なる遺伝子変異の間で異なる結果が得られて解釈が複雑になるなど、想定していなかった問題に直面し、本来3年間で完了する予定であった研究を期間内に終えることができなかった。これらの理由により、研究は計画よりもやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
延長した次年度も、当該年度の特定のネオセントロメアが示す競合欠損の原因解明の研究を継続する。当初計画では「セントロメア定着の分子メカニズムの解明」に該当するが、一部「セントロメア定着の促進因子の同定」にも立ち戻り、より広範囲に解析を進めることで、現在直面している矛盾や不確定さを一段高い見地から考えられるようにし、結果としてより大きな研究進捗に繋がることを目指す。
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