研究課題
基盤研究(C)
Notch受容体の機能発現にはcotext dependencyが存在するとされる。それは何らかのcontextに応じて、異なる遺伝子の活性化として観察される。その機構は未知であり、我々は脂質依存的なNotch受容体の構造、clusteringの差異がこのcontext dependencyを与えると考え、その機構の構造化学的解析を行う。
Notchシグナリングでは「異なるリガンドが同種受容体に結合し、その結果、同種タンパク質断片が細胞内に放出されるが、その放出様式が異なることで、異なる遺伝子発現が生じる」というcontext dependencyが示されており、ここでの課題はこのメカニズムの詳細を知ることである。この事象に対し、我々は受容体のclusteringの違いが放出様式に違いをもたらすと推測している。そのclusteringに違いを与え得る脂質環境とそれに応じた受容体の構造やリガンドの認識機構を明らかにしていくこととした。Notch受容体リガンドにはDll1、Dll4を含む5種類が知られ、そのN末端にはC2ドメインという脂質結合ドメインが存在する。このC2ドメインに関するリポソーム結合アッセイから、C2ドメインは膜に結合することが報告されていた。本研究においては、分子動力学(MD)計算によって、上述のC2ドメインが特異的な脂質を検出する(特異的脂質と結合するのか)可能性を見出すこととした。用いた脂質二重層の組成は以下の3種類、POPC/POPS、POPC/POPS/GM1、POPC/POPS/GM3である。今回のMD計算によってわかったことはDll1、Dll4のC2 domainはGMを介して膜に結合することである。Dll1に関しては、C2 domain中1番目と2番目のβ strandの間のloop(B1-B2 loop)がGM1、GM3それぞれに結合することがわかった。一方、Dll4に関して、GM1に対してはB1-B2 loopが相互作用することが観察されたが、GM3に対してはC2 domain中2番目と3番目のβ strandの間のloop(B2-B3 loop)が相互作用し、膜に埋まることがわかった。現在は次の段階として、wetな実験によって、上述の計算結果の検証を行っている。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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