研究課題/領域番号 |
21K06040
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
伊藤 暁 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 助教 (90595381)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 分子シミュレーション / アミロイドベータペプチド |
研究開始時の研究の概要 |
アミロイドベータペプチド(Aβ)と呼ばれるペプチドが凝集してオリゴマーを形成することで、アルツハイマー病が発症すると考えられている。Aβのオリゴマー形成は脂質膜上で促進されることが知られており、その詳細なメカニズムを解明するために計算機シミュレーションを用いる。Aβのオリゴマー形成過程は非常に遅い過程であるために、シミュレーション手法としてクーロンレプリカ置換法を採用する。脂質膜上にAβを配置し、クーロンレプリカ置換分子動力学シミュレーションを行うことで、脂質膜上でのオリゴマー形成過程を明らかにする。
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研究実績の概要 |
アミロイドベータペプチド(Abeta)は凝集して可溶性のオリゴマーや不溶性のアミロイド線維を形成することが分かっている。これらの凝集体がアルツハイマー病が引き起こす原因と考えられており、Abetaの凝集過程の解明はアルツハイマー病の発症メカニズムを理解する上で不可欠である。 Abetaには、40アミノ酸残基からなるAbeta40と42アミノ酸残基からなるAbeta42があり、Abeta42の方が凝集能が高いことが知られている。両者の凝集過程の違いを調べることで、Abeta凝集を促進する要素を明らかにすることができると考えられる。昨年度はAbeta40及びAbeta42のクーロンレプリカ置換分子動力学シミュレーションを行い、二量体形成過程の違いを調べた。その結果、Abeta42は安定な二量体を形成することが分かった。二量体の安定化には、β-ヘアピンを形成が重要であることも分かった。また、β-ヘアピンの形成の鍵となるアミノ酸残基を特定することに成功した。シミュレーション結果からβ-ヘアピン形成の鍵となるアミノ酸残基がAbeta凝集に重要であると予測し、シミュレーション結果の妥当性を検証するための凝集実験を行った。実験の結果、シミュレーションから得られた予想通り、鍵となるアミノ酸残基を変異することでAbetaの凝集を大幅に抑制された。本年度はこれらの研究成果をまとめ、論文として出版した(ACS Chem. Neurosci. 2022, 13, 3139)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は研究に使用しているスーパーコンピュータの入れ替えがあったことに加えて、部材不足による稼働予定の延期があったため、予定していたシミュレーションの実行ができなかった。また、スーパーコンピュータ入れ替えに伴う仕様変更のため、自作プログラムの実行速度がこれまでよりも大幅に遅くなった。これらの理由により研究の進捗が予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
スーパーコンピュータ入れ替えに伴う仕様変更に対応するために自作プログラムの書き換えを行い、実行速度を入れ替え前と同程度まで引き上げる。プログラム書き換え後、脂質膜存在下でのAbetaの凝集過程の分子シミュレーションを行う。
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