研究課題/領域番号 |
21K06042
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
別所 義隆 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, 客員研究員 (70242815)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | DNAフォトリアーゼ / ピリミジン二量体 / 光回復酵素 / XFEL / 時分割結晶構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
DNAフォトリアーゼは、紫外線曝露により生じるDNAピリミジン二量体の損傷を修復する酵素である。この酵素は、その反応に可視スペクトルの紫色や青色の光を必要としており、光回復酵素として知られている。しかし、この光修復反応において酵素と基質DNAの間で起こる分子間反応のダイナミクスは全く捉えられていない。そのため本研究は、DNAフォトリアーゼの修復反応を構造化学的に明らかにするため、X線自由電子レーザー(XFEL)をプローブ光として使用し、酵素と基質の反応を時間分解で捉えることを目的とする。分光学的手法では観察できない反応中間体を見出し、DNA修復の反応メカニズムを完全に解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
DNAフォトリアーゼは、紫外線曝露により生じるDNAピリミジン二量体の損傷を修復する酵素である。その反応には可視の青色光のエネルギーを必要としており、光回復酵素として知られている。この研究では、この酵素の光回復反応において、分子間反応のダイナミクスを構造化学的に明らかにすることを目的とする。我々は、古細菌Methanosarcina mazeiのクラスII-CPDフォトリアーゼ(MmCPDII)をターゲット酵素に選定した。この酵素は、高分解能のX線結晶構造が既に報告されており、また分光学的特徴もよく知られているのでこの研究に最適な材料である。昨年度までに、XFEL実験で使用する液体ジェット噴出装置の規格に合うようにMmCPDII単体のマイクロ結晶をを大量に作成することに成功し、SACLAのBL2ビームラインにてXFELを照射することで回折データを取得する方法を確立した。今年度、MmCPDIIの酸化型および還元型結晶構造のモデルを構築し、酸化還元状態によって酵素に内包されるフラビン補酵素のイソアロキサジン環に構造差異があることを見出した。これを受けて、酵素の光還元反応がどうのように進むか時系列を調べる目的で、時分割実験の試料条件を検討し、XFEL測定法をデザインした。また、XFELの生物試料イメージングも高度化するために、高度好熱菌Thermus thermophilusの細胞やタンパク質を追加のターゲットに選定した。XFEL回折から生細胞の低分解能イメージを取得した。今後XFEL測定用の封入チップを結晶に使用できるように再設計する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
古細菌Methanosarcina mazeiのクラスII-CPDフォトリアーゼ(MmCPDII)単体と損傷DNA複合体のマイクロ結晶を効率よく作成する条件を見出した。結晶に混ぜる充填剤を最適化し、SACLA施設にてXFELビーム照射によるX線回折データ取得に成功した。単体タンパク質の構造解析の結果、酸化還元状態によって酵素に内包されるフラビン補酵素に差異があることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
DNAフォトリアーゼ損傷DNA複合体のマイクロ結晶の作成条件を最適化し、SACLAのXFELビームで構造解析に適した回折データセット取得を目指す。従来のX線では分からなかった放射線損傷のない正確な結晶構造を解明し、更には時分割測定により光修復反応のダイナミクスを明らかにする。
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