研究課題/領域番号 |
21K06055
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
的場 一晃 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 主任研究員 (60613792)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | オートファジー / 脂質輸送 / クライオ電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞内分解システムの一つであるオートファジーはさまざまな生理的機能を担っている。特徴的な膜構造体が分解対象を包み込む過程はオートファジーに必須であるが、その詳細な機構は不明である。本研究ではオートファジー膜伸長時の脂質の輸送機構を解明することを目的とする。脂質輸送の場と考えられる小胞体と隔離膜が近接した領域ではAtg2やAtg9が局在することが知られているが詳細な分子機構は依然として謎に包まれている。どのように脂質をオートファジー関連膜に輸送しているのかを、主に構造生物学的な手法で研究する。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、単一巨大リポソーム(GUV)とスモールリポソーム(SUV)間の脂質輸送を検出するために実験系の構築を行なった。マイクロキャピラリー(内径8μm)を用いて、一定の圧力でGUVを吸引し、捉えたあと、次に2本目のマイクロキャピラリーで蛍光染色したAtg2-Atg18を振りかけた。その結果、GUV表面にはAtg2-Atg18が局在したが、吸引しているキャピラリーの内側はAtg2ーAtg18がアクセスできないため、局在しなかった。次に、3本目のキャピラリーでスモールリポソーム(SUV)を添加した。するとSUVに組み込んだ蛍光脂質が、GUVに移動することが観察された。次に、キャピラリーを用いない方法でも実験を行なった(バッチ法)。この方法では継時的な脂質の移動は観察できないが、多数のGUVへの脂質の移動を観察することができる。この結果、 野生型Atg2ではSUVからGUVへの脂質の移動は観察されるものの、変異体Atg2を使った実験では脂質の移動は観察されなかった。現在再現性の確認を行っている。 また、Atg2の脂質輸送を阻害する化合物を探索を行うため、スクリーニング系の構築を行なった。U2OS細胞を用いて、LC3、LAMP1、核、細胞質を4重蛍光染色を行なった。薬剤処理とDMSO処理画像からLC3やLAMP1輝点の数、大きさ,共局在の有無などを抽出した。これらの情報からクロロキン処理時を教師データとし、化合物ライブラリー処理時に同様のクラスに分類されるものを選び出した。選抜された化合物はV-ATPaseとして知られる化合物が含まれており、オートファジー阻害剤を検出できるスクリーニング系を構築できた。今後さらに解析を進め、Atg2阻害剤を見出したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
マイクロキャピラリーを使った実験系の構築が難しく、データの取得に時間を割いているため。
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今後の研究の推進方策 |
キャピラリーを使う実験は共焦点顕微鏡にセットされたマニュプレートシステムで行っている。しかし、その装置は北海道大学にいる共同実験者が所有しているため、その利用には制限がある。今後はその装置を利用しない形の実験を計画する。具体的にはバッチ法や細胞内で代替できるシステムを模索する。
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