研究課題/領域番号 |
21K06066
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石原 孝也 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (70611862)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | mtDNA / 核様体ダイナミクス / ミトコンドリアダイナミクス / ミトコンドリア核様体 / ミトコンドリアDNA |
研究開始時の研究の概要 |
細胞内エネルギーの大半を作り出すミトコンドリアは、分裂と融合によりその膜形態をダイナミックに変化させる、細胞のゲノムとは別の“独自のゲノム”であるミトコンドリアDNA(mtDNA)を保持している、など特徴的な性質を持っている。申請者らの研究で、ミトコンドリアの膜とmtDNAは一部で協調してミトコンドリア機能の維持に働いていることがわかってきたが、その分子機構については未だ不明な点が多く残されている。本申請研究ではmtDNAからなる核様体のダイナミクスの理解からミトコンドリアの膜の形態変化、およびそれらが関わる個体の様々な高次機能の制御機構を明らかにすることを目的とする。
|
研究実績の概要 |
近年の研究からミトコンドリアの形態はダイナミックに変化していることが分かり、その生理的意義についても理解され始めている。またミトコンドリアが保持する独自のゲノムであるmtDNAは核様体という構造を形成し、ミトコンドリア内膜に局在してダイナミックにその分布を変化させている。これまでの申請者らの研究成果からミトコンドリアの膜とゲノムが協調的に働き、ミトコンドリア機能を制御することが明らかになってきたが、その分子メカニズムの理解は進んでいなかった。 今年度は、ATAD3というミトコンドリア内膜タンパク質が核様体の動態制御に関わっていることを明らかにし、研究成果として報告した。本研究成果ではATAD3がミトコンドリアの内膜に沿って核様体を輸送していること、さらにこの機能にはATAD3の加水分解活性と多量体を形成するドメインの両方が関わっていることを明らかにした。また、ATAD3を発現抑制した細胞では、ミトコンドリア内の核様体の大きさや分布が変化しており、呼吸に必要な呼吸鎖複合体を形成するいくつかのタンパク質が増加していた。このことから、核様体の動きや配置の制御がミトコンドリアの活性を調節していることがわかった。 また、核様体のダイナミクスを理解するうえで重要な構造とその形成メカニズムの研究も進捗している。本研究からは、核ゲノムの構造を制御するメカニズムに類似したシステムがmtDNAの制御機構にも備わっていることを明らかにできつつある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
すでに学術誌に発表した研究成果だけでなく核様体の構造と形成に関わる分子メカニズムについての研究も本研究期間中にまとめられる見込みがついた。本申請研究によって核様体のダイナミクスに関わる知見を着実に積み重ねることができており、研究領域の発展にも貢献できている。今後はさらに、生理・病態に関わる研究に展開できるように、準備を進めていく。
|
今後の研究の推進方策 |
上記の研究成果とは別の関連因子の解析も進んでおり、研究成果としてまとめながら、核様体ダイナミクスの全体像を明らかにすべく、計画的に研究をすすめる。また、次年度より申請者は島根大学の医学部生命科学講座へと所属を移す。これまでの基礎研究を継続し、さらに病態理解へと研究を展開する環境が整いつつある。今後はさらに研究を推進し、本研究の目的を達成できるようにつとめる。
|