研究課題/領域番号 |
21K06073
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
寺原 直矢 中央大学, 理工学部, 助教 (40554738)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 生体エネルギー / 分子モーター / 1分子計測 / イオンチャネル / 生物分子モーター / 生物物理 |
研究開始時の研究の概要 |
べん毛モーターは、プロトンまたはナトリウムイオンの細胞内外の濃度差および膜電位によって決定される電気化学ポテンシャル差をトルクに変換する。1回転あたり26回のステップ状変位が観測されているが、回転速度が非常に速い上、10分子程度 の固定子が同時にモーターに組み込まれているため、固定子1個が寄与するエネルギー変換の素過程を捉えるのが大変困難である。本研究では、生理条件下で「イオンの流れをトルクに変換する」一連の反応サイクルが遅い固定子によって駆動するモーターの入出力を解析することで、べん毛モーターのエネルギー変換メカニズムを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
細菌べん毛モーターは、H+またはNa+の細胞内外の濃度差および膜電位によって決定される電気化学ポテンシャル差をトルクに変換する生体ナノマシンである。べん毛モーターは回転子と固定子から構成され、イオンチャネルとして機能する固定子内部に共役イオンが流れることで固定子と回転子が相互作用し、回転力を発生させる。1回転あたり26回のステップ状変位が観測されており、固定子と回転子の相互作用素過程がステップとして反映されていると考えられている。しかし、回転速度が非常に速いため精度の高い回転ステップの検出が難しく、さらに1つのモーターに対して固定子が10個前後組み込まれることから、イオンの流れと力の発生の関係性を見出すことが大変困難である。そこで、生理条件下でモーターに組み込まれる固定子数が1個と少なく、回転速度が遅い枯草菌べん毛モーターの回転ステップを解析することで、イオンの流れがどのように力に変換されているのか明らかにすることを目指した。 べん毛モーターが生み出すトルクは、ビーズアッセイ法によって解析する。ビーズアッセイ法は、スライドガラス上に接着させた菌体の1本のべん毛フィラメントにポリスチレンビーズで標識し、べん毛の回転をビーズの回転軌道として計測する方法である。高速回転しているビーズの位相差像から重心位置を求め、ビーズの重心位置を示すXY座標とビーズの回転速度を求める。さらに、得られたXY座標を回転楕円補正することで回転半径を求める。これらの計測結果および測定時の溶液の粘度から発生トルクを算出する。これまで、枯草菌のべん毛モーターの測定を可能とする系の構築に漕ぎ着けた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、枯草菌のべん毛モーターの測定を可能とする系を構築し、生理条件下でゆっくり回るモーターの回転計測およびステップ解析を行った。その結果、先行研究で報告された大腸菌と同様に、枯草菌のべん毛モーターの回転も動作と停止を繰り返すステップ変位として観察することができた。さらに、エネルギー入力であるNa+駆動力、すなわち計測時のNa+濃度とpHを変化させることで、ステップの動作に変化が見られた。現在、さらに測定条件を細かく設定し、解析を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
さらに、固定子と回転子間の相互作用を調べるために、ビーズの大きさを変えることでモーターにかかる負荷を変化させ、高負荷および低負荷条件下で動作と停止がどのように変化するのか解析を試みる。そして、これまでの結果をまとめ、論文として発表することを目標とする。
|