研究課題
基盤研究(C)
本研究ではErbB4の部位特異的糖鎖構造解析を行い、糖鎖によるErbB4シグナル制御機構を明らかにする。受容体の多くは糖鎖を持っており、糖鎖による機能制御を受けている。これまでにEGFRとErbB3の糖鎖解析を行い、特定の糖鎖構造が機能と関係している可能性について検討してきた。本研究でErbB4の糖鎖機能を明らかにし、ErbB受容体ファミリー全体の糖鎖機能メカニズムの解明をめざす。
増殖因子受容体はがん治療のターゲットであり、その制御機構を明らかにすることは重要である。ErbB4はErbBファミリーに属する分子で、がんの他、精神疾患にも関係していることが報告されており、その生理機能に関しては未知の部分が多い。本研究では、ErbB4の部位特異的糖鎖構造解析を行い、糖鎖によるシグナル制御機構を検討した。今回の研究では、以下の結果が得られた。1)ErbB4の部位特異的糖鎖付加率および糖鎖構造:CHOK1細胞で発現させたヒトErbB4の細胞外ドメインを精製し、LC-ESI-MS/MSを用いて11か所の糖鎖付加ポテンシャル部位における糖鎖付加率と糖鎖構造を解析した。糖鎖付加率に関してはN146とN448の2か所は50%以下と低かったのに対し、他の部位は概ね高い付加率を示した。特にN113、N333はほぼ100%の糖鎖付加率だった。また、N113、N228、N523の3か所は高マンノース型糖鎖、それ以外の8か所は複合型糖鎖が付加することがわかった。2)ErbB4の機能に重要な糖鎖の同定:CHOK1細胞を用いてErbBの野生型および糖鎖欠損変異体の安定発現細胞を樹立した。ヘレグリン刺激に対するシグナルを比較したところ、N333の糖鎖を欠損させた変異体にて、ErbB4のリン酸化の亢進(リン酸化レベルの上昇とリン酸化持続時間の延長)が認められた。ただし、下流シグナルの亢進はみとめられなかった。3)ErbB4細胞外ドメインの糖鎖欠損変異体の性質の評価: ErbB4の細胞外ドメインはEGFシグナルとヘレグリンシグナルの両方を抑制することを確認した。
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