研究課題/領域番号 |
21K06088
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
田崎 隆史 金沢医科大学, 総合医学研究所, 准教授 (70629815)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 大腸がん / ユビキチンリガーゼ / UBR4 / マウスモデル / 大腸炎関連大腸がんモデル / Ag/N-degron pathway / Proteolysis / Colitis / Colon cancer |
研究開始時の研究の概要 |
ユビキチンリガーゼUBR4はタンパク質のユビキチン化を担う修飾酵素で、多種多様な生理現象に関わっていることが報告されている。これまでの研究で、マウスを用いた実験により、Ubr4遺伝子が炎症性腸疾患に関わっていることを見出した。UBR4は大腸炎、大腸がんの抑制因子として機能している可能性がある。本研究計画では、マウス個体のみならず、培養細胞を用いて網羅的にUBR4依存性の変動因子を検索することにより、大腸炎関連発癌に関わるUBR4の生理学的機能とその分子機構の解明を目指す。この研究成果は、大腸炎関連発癌の新規メカニズムの発見や、薬物開発のための新規プラットフォームの開発に貢献する。
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研究実績の概要 |
ユビキチンリガーゼUBR4はタンパク質のユビキチン化を担う翻訳後修飾酵素で、多種多様な生理現象に関わっていることが報告されている。本研究計画では、マウス個体のみならず、UBR4欠損培養細胞を用いて網羅的にUBR4依存性の変動因子を検索することにより、大腸炎関連発がんに関わるUBR4の生理学的機能とその分子機構の解明を目指す。R4年度は、UBR4依存性大腸炎関連大腸がんモデルマウスとヒト大腸由来培養細胞におけるUBR4役割についての研究を行った。大腸炎関連発がんモデルマウスは、系統、餌、水、AOM/DSS(製造元、投与量、投与回数)などの様々な要因により、大腸炎の程度や発がん時期が変動する。本研究での飼育環境では、10mg/kg BW AOM 1 i.p. injection+2 cycles of 1.5%DSSで、大腸炎および大腸がんモデルを作製した。その結果、対照群と比較してUBR4欠損群ではDSSによる大腸炎の程度に個体差あるものの、大腸がんの発生率および一匹当たりの腫瘍数が再現性良く増加していた。以上の結果から、UBR4は大腸炎と大腸がん発生において抑制的な役割を持っていることが示唆された。UBR4欠損HEK293細胞確立に用いたCRISPR/CAS9発現プラスミドベクターをヒト大腸がん由来細胞(HCT116, HT29)に適用した。しかし、UBR4欠損細胞を確立することが出来なかった。そこで、siRNA導入により大腸がん由来細胞で発現しているUBR4タンパク質をノックダウンしたところ、細胞増殖が阻害された。siRNA抵抗性のUBR4発現ベクターをsiRNAと同時に導入したところ、細胞増殖阻害が抑制された。したがって、ヒト大腸がん由来細胞におけるUBR4は増殖促進する役割を持っていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究では、腸上皮特異的UBR4遺伝子欠損マウスを用いてAOM/DSS投与による大腸がんモデルの作製を実施した。DSSの濃度など条件検討を行い、UBR4遺伝子欠損による大腸がん誘導の再現性を確認できた。一方、UBR4欠損大腸由来培養細胞の確立においては予期しない結果が得られた。UBR4を欠損するヒト大腸がん由来細胞(HCT116, HT29)の増殖は阻害されるため、CRISPR/CAS9システムによるUBR4欠損細胞確立が難しいことが予想された。この結果は大腸がん増殖過程においてはUBR4が促進する役割を持っている可能性を示唆している。新たな抗がん剤のターゲットとなる可能性をあり、siRNA導入によるUBR4ノックダウンによる大腸がん由来細胞を用いた研究を本研究計画に追加している。以上のことから、一部計画変更はあるものの、本研究計画の現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で確立した腸上皮特異的UBR4遺伝子欠損マウスは、タモキシフェン投与による腸上皮特異的Cre組換え酵素誘導システムを採用している。このシステムを用いることで、UBR4を組織特異的かつ時期特異的に欠損させることができる。これまでの研究から、UBR4欠損が初期の大腸炎発症を悪化させ、後期の大腸がん増殖を誘導するという仮説を立てている。そこで、大腸炎発症後に、タモキシフェンを投与し、UBR4が大腸がん発生後期において役割を持っているのか検討する。UBR4が関与している時期を確定したのち、UBR4欠損腸上皮における、遺伝子とタンパク質の変動を解析する。また、培養細胞系実験により、大腸がん増殖におけるUBR4の役割の解析を行っていく計画である。
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