研究課題/領域番号 |
21K06091
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
田母神 淳 松山大学, 薬学部, 准教授 (30580089)
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研究分担者 |
菊川 峰志 北海道大学, 先端生命科学研究院, 准教授 (20281842)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | センサリーロドプシン / レチナール / 光受容タンパク質 / 走光性 / 光情報伝達 / 分子間相互作用 / フォトサイクル / シグナル伝達 / 高度好塩菌 |
研究開始時の研究の概要 |
高度好塩菌は、正と負の走光性機能を司る2つの光センサ型ロドプシン(SRI、SRII)をもっている.これらの分子は、光という共通刺激により誘起された反応を介した構造変化をそれぞれの共役タンパク質へと伝えることで情報伝達を行っているが、2つのケースで真逆の機能がもたらされる分子機構については不明である.本研究では、同じ好塩菌種(Haloarcula vallismortis)に由来する2つの安定なSRI、SRIIを用いた物性解析と機能変換実験からこの問題を明らかにし、その知見をもとに、細胞内シグナル伝達をはじめとする異種タンパク質同士の分子間相互作用機序の基礎的理解へとつなげることがねらいである.
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研究実績の概要 |
高度好塩菌には主に正(誘因)と負(忌避)の2つの走応答を担う光受容体が存在し、それぞれセンサリーロドプシンI(SRI)、II(SRII)と呼ばれる。本研究では、これら2つのSRがそれぞれ逆の応答を司る光受容体として機能するのはなぜか?その要因を明らかにすることを目的に、初年度で試料となる2つのSR分子(Haloarcula vallismortis由来のSRI(HvSRI)およびSRII(HvSRII))を安定に得るためのタンパク質発現系を構築し、それぞれのタンパク質の吸収波長やフォトサイクルといった光化学的性質に関する調査を行った。令和4年度は、2つのSRそれぞれの機能に重要なアミノ酸残基を探索すべく、様々なアミノ酸残基に変異を導入し、その光化学的性質に及ぼす影響について調べた。SRをはじめとする微生物型ロドプシンでは、発色団レチナールの近傍にあり、結合ポケットを形成しているアミノ酸残基の中に重要残基が存在するケースが多いため、それらのアミノ酸残基についてHvSRIとHvSRII間で比較し、両者の間で異なるアミノ酸残基を抽出後、HvSRIIのそれぞれのアミノ酸をHvSRI型に置換した単変異体6種(L17F、T108M、Q105D、N83L、G130S、F134H)を作製した。6つの変異体の内、N83Lのみ極大吸収波長が野生型と比べて大きく(~10 nm)長波長シフトし、HvSRIに近づいたことから、このアミノ酸残基が吸収波長の調節において特に重要であることがわかった。また、この変異体は光反応の速さという観点からも、SRIIのシグナリング中間体として重要だとされているM中間体の崩壊速度が野生型と比べて著しく遅くなることを発見した。したがって、この変異導入が実際に走光性機能の変換を引き起こすかどうかについては興味深いテーマであり、今後検討していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度における研究では、2つのSR間でのアミノ酸残基の比較から、特にレチナール結合ポケットを形成するアミノ酸残基に注目して、両者の間で異なるアミノ酸残基を抽出後、HvSRIIにおけるそれらの残基をHvSRI型へと置換するという実験を行い、HvSRIIの性質をHvSRIに近づけるアミノ酸残基の候補の1つを見つけることができた。しかし、当初の計画にあったその逆のパターンであるHvSRIをHvSRII型へと置換し、その機能に及ぼす影響について検討するという実験は実施できておらず、次年度の課題として残ったため。 また、令和4年度では、HvSRIおよびHvSRIIを介した高度好塩菌の光応答の観察を進めるべく、光照射後のHvSRIおよびHvSRIIのそれぞれからシグナルを受けて、そのシグナルを下流へと伝えるのに重要な共役タンパク質(トランスデューサータンパク質HvHtrIおよびHvHtrII)をコードする遺伝子のクローニングとHvSRI、HvSRIIそれぞれとの共発現系の構築に着手していく予定であったが、未だ発現系の完成には至っていないため。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、前年度でやり残してしまったHvSRI型→HvSRII型へのアミノ酸残基置換体作製とそれらの変異体の光化学的性質に及ぼす影響について調べたい。また、高度好塩菌におけるHvSRI-HvHtrI複合体およびHvSRII-HvHtrII複合体の発現系構築に向けて、2種類のトランスデューサータンパク質(HvHtrIおよびHvHtrII)遺伝子のクローニングおよび発現ベクターへの組み込みにも早急に取り組みたい。また、最終年度に計画していたHvSRI型→HvSRII型およびHvSRII型→HvSRI型への相互変換で、走光性機能の相互変換(正⇔負)が可能かどうかの検討も進めていきたい。
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