研究課題/領域番号 |
21K06096
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今井 洋 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (60391869)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 分子モーター / ダイニン / 微小管 / クライオ電子顕微鏡 / 細胞骨格 / 単粒子解析 / チューブリン |
研究開始時の研究の概要 |
細胞質ダイニンは、細胞骨格である微小管に沿って、細胞内物質を輸送する重要なタンパク質である。例えば、細胞膜周辺部から核に向けて、ミトコンドリア、mRNA、アミロイドβタンパク質などを運ぶ。細胞質ダイニンが微小管に結合した構造は、2つの部分構造として報告されている。しかし、多くのタンパク質複合体で、全体構造が解明されたときに、複数の部分構造を合わせたものと全体構造とに差異があることが報告されている。そこで、本研究では、細胞質ダイニンが微小管に結合した全体構造を、クライオ電子顕微鏡を使って明らかにすることを目的とする。この構造がわかると、ヒトの神経変性疾患の発病の分子メカニズムの解明などに役立つ。
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研究実績の概要 |
細胞質ダイニンは、細胞骨格である微小管に沿って、成長因子などの細胞内物質やミトコンドリアなどの細胞小器官を輸送する。輸送はATPの化学的なエネルギーを力学的なエネルギーに変換することで達成される。ダイニンの力発生前と力発生後の近原子分解能の構造は報告されているが、それらの間でどのような中間構造が存在するかは依然としてなぞである。この疑問を解くために、私たちはクライオ電子顕微鏡単粒子解析法を用いて、細胞質ダイニンのモータードメインの構造の新たな中間体構造を明らかにした。ダイニンの加水分解サイクルの理解に大きな変更が加えられると考えている。現在、論文投稿に向けて準備を進めている。 次に、細胞質ダイニンのモータードメインの構造が微小管結合に伴いどのように変化するかを調べるために、クライオ電子顕微鏡で構造解析を行っている。現在、実験を進行させている。 さらに、細胞質ダイニンだけでなく、繊毛ダイニンの構造も、クライオ電子顕微鏡で調べている。繊毛ダイニンは、精子の運動や気管上皮細胞での異物の排除に働く繊毛を駆動するためのモータータンパク質である。繊毛ダイニンは、10数種類あるが、近原子分解能での構造が明らかにされているのは、3種類のみである。残りの繊毛ダイニンの構造は未知である。私たちは、繊毛ダイニンの近原子分解能の新規構造を得た。そこで、論文投稿の準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞質ダイニンの新たな中間体構造を、近原子分可能の構造として得られた。さらに、繊毛ダイニンの構造においても、近原子分可能の構造を得た。現在、論文投稿のための準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
微小管やチューブリンに、細胞質ダイニンのモータードメインを結合させて、クライオ電子顕微鏡で構造解析を行う計画である。現在、クライオ電子顕微鏡のためのグリッドの凍結条件を検討している。
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