研究課題/領域番号 |
21K06098
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
田中 成典 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (10379480)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 温度生物学 / 生体高分子 / 熱伝導度 / 分子動力学法 / 細胞内夾雑環境 / 非線形振動 / エネルギー移動 / エネルギー等分配 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞内の夾雑環境中の生体高分子系における熱緩和現象の理論的および計算機シミュレーション手法による解明を行う。まず、球対称あるいは円筒対称形状のタンパク質内部の熱伝導度ならびに周囲の水との界面における熱伝達率を非平衡全原子分子動力学シミュレーションによる温度緩和の結果を熱拡散方程式にマッピングすることで算出する。さらに、非平衡解離過程にあるタンパク質複合体における原子の速度分布の相関を調べることで、運動エネルギーとそれに付随した熱エネルギー・温度の「質」に関して議論する。さらに、生体高分子系に対する熱平衡ならびに非平衡状態における温度制御・熱浴設定の最適プロトコルを再検討する。
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研究成果の概要 |
まず、水溶液中に置かれたタンパク質の熱伝導度および周囲の水との界面における熱伝達率を分子動力学(MD)シミュレーションに基づき定量的に評価できる理論手法を開発・確立し、実際の計算を通じて、その妥当性を検証した。特に、異方的熱伝導を正確に記述できるようになった点が重要である。さらに、化学反応等によって発生したエネルギーがタンパク質複合体においてどのように移動するかという問題を、全原子ならびに非線形結合振動子モデルを用いてMD法により詳しく調べた。このような研究を通じて非線形モード結合の役割を解明するとともに、量子力学的な調和振動子系の熱力学についても、分布関数に対する一般的な解析表式を導出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、ダイヤモンドNVセンターなどを用いた量子ナノセンサーの技術的進展が目覚ましく、細胞内の局所的な温度計測が可能となりつつある。このような技術の延長上には、がんや脳神経疾患などの早期診断への応用が考えられ、また学術的にも分子生物学における局所温度変動の重要性を主張する温度生物学への適用が考えられる。本計画研究において、細胞環境中の生体分子周辺の温度変化や熱伝導を微視的に解析できる理論・シミュレーション手法が開発されたことは、これらの実験・計測を通じて得られた結果を解釈したり、新たな実験デザインを行ったりする上での貴重な基礎的知見を与えることになると言える。
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