研究課題/領域番号 |
21K06099
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
森本 雄祐 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (50631777)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 発生 / 脱分化 / 細胞内pH / シグナル伝達 / 蛍光イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
細胞分化と脱分化の制御メカニズムの解明は、発生生物学、さらには再生医工学の分野において必須の課題である。これに対し、細胞内pHは細胞分化やシグナル伝達において、重要な要因の一つとして働いていることが知られているが、その詳細な役割は明らかになっていない。本研究課題では、細胞分化と脱分化に伴う細胞質pH変化を、高感度な分化・脱分化マーカーとして捉える計測手法を確立する。また、細胞質pHの人為制御によって、細胞性粘菌の細胞分化と脱分化を操作することにより、脱分化におけるpH変化の役割を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、細胞性粘菌の細胞分化と脱分化に伴う細胞質pH変化を、高感度な分化・脱分化マーカーとして捉える計測手法を確立することを目指している。これまでに、開発した高感度pHイメージング手法を用いることで、細胞性粘菌の柄細胞への分化、および予定柄細胞からの脱分化に伴う細胞質pH変化を1細胞レベルで計測することが可能となっている。本年度は、分化マーカーのコントロールとして、柄細胞の分化トリガーとして働くことが知られているc-di-GMPの多細胞体内での可視化を行った。c-di-GMPは、バクテリアで広く働くシグナルであり、バクテリアでは細胞内で働くシグナルを可視化する蛍光プローブが開発されている。このバクテリア由来の蛍光プローブを細胞性粘菌に導入し、発生に伴うc-di-GMPシシグナルの変動を計測したところ、多細胞体の柄細胞形成期に多細胞体先端でc-di-GMPシグナルが局所的に上昇することを明らかにした(Ide et al., Front Cell Dev Biol. 2023)。これは、柄細胞分化のこれまでの知見と時空間的に一致するものであった。また、真核生物内では、細胞性粘菌だけが唯一、細胞内でc-di-GMPをシグナルとして合成・利用することが知られている。このため、今回の成果は、世界で初めて真核生物内で働くc-di-GMPシグナルを可視化したものである。c-di-GMPシグナルと、細胞質pH変動の多細胞体内での空間的な局在性は完全には一致しておらず、細胞分化に伴うpH変動は、c-di-GMPシグナルとは異なるシグナル経路を見ていることが示唆された。
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