研究課題/領域番号 |
21K06101
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
鞆 達也 東京理科大学, 教養教育研究院神楽坂キャンパス教養部, 教授 (60300886)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | クロロフィル / 光化学系 / シアノバクテリア / アンテナ / 光化学系I / 光合成 / エネルギー移動 |
研究開始時の研究の概要 |
光合成の光エネルギー変換反応においてアンテナ色素間のエネルギー移動は重要な役割を担っている。red-クロロフィル(Chl)がアンテナとして機能するためにはエネルギー勾配に逆らった“up-hill”なエネルギー移動が必要になり、その機構解明は基礎科学としても興味深く、この機構を明らかにすることは、エネルギー創生の応用の面としても重要である。 光化学系Iの構造情報は近年のクライオ顕微鏡のhatten もあり、その詳細な分子構造が積み上がってきてる。本研究は種々のシアノバクテリアより光化学系Iを単離精製し、その詳細な分光解析また構造解析を行うことによりred-Chlの存在意義を明らかにする。
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研究実績の概要 |
光合成光化学反応は不安定な太陽光エネルギーを安定な化学物質に変換する反応であるが、太陽光は密度が低いため光合成生物は集光性色素および複合体を多様化させ進化させてきた。光化学系Iに結合したアンテナクロロフィルの約10%は電荷分離を担う、初期電子供与体よりも長波長側に吸収帯をもつクロロフィル (red-クロロフィル)であり、長波長側から短波長側へのエネルギー移動は熱力学的に不利であるのも関わらず機能していることから、その役割を明らかにすることは重要である。本年度の研究では昨年度に引き続き一般的なシアノバクテリアと異なる特徴的なred-クロロフィルをもつシアノバクテリアA. platensisを材料として実験を行った。光化学系Iの単量体、二量体、三量体のより高純度な単離精製に成功し、吸収及び蛍光スペクトルの議論を行った。また、酸化還元や構造解析にはまとまった量のサンプルが必要になることから、培養規模を上げて、測定に必要なサンプルの準備を行った。現在、このクロロフィルの複合体内での位置を決定するために、測定を進めている。また、既知のクロロフィルの中でもっとも低エネルギー側に吸収極大をもつクロロフィルfを結合した光化学系Iに関しても解析を進めている。このクロロフィルfをもつシアノバクテリアのクロロフィルf量は光化学系I全体の約10%であり、我々はクライオ電子顕微鏡を用いて構造を決定したが、他のグループが近縁の生物種で解析した結果と一部に違いがあった。これは。クロロフィルfとクロロフィルaの電子密度の違いが少ないことによる同定の難しさを示している。そこで、よりクロロフィル数の少ないクロロフィルfをもつ光化学系I標品を生化学的に作成し、クロロフィルaおよびfの構造機能を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験装置の不具合などにより、研究停止がやむを得ない期間が発生した。そのため、当初計画ではA. platensisのクロロフィルの構造・機能の相関を決定する予定であったが、少しの遅れが存在した。しかし、装置の修理を行い、現在は研究速度を加速させている。現在、光化学系標品が十分に蓄積し、あらたな手法により光化学系あたりのクロロフィル数の異なる標品が新規に単離できているため、当初の計画より、さらに進んだ結果を示すことが期待できる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度が、研究期間の最終年度であるためこれまでのA. platensisとH. hongdechlorisに関するred-クロロフィルの構造・機能・相関に関する結果を論文に纏めred-クロロフィルに関する新たな知見を報告する。また、得られた結果を学会発表やウエブで発信していく。 光化学系あたりの結合クロロフィル数を削減させる新規基盤技術の開発を進め、red-クロロフィルの新たな知見を研究者で共有できるようにしていく。
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