研究課題/領域番号 |
21K06104
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
佐賀 佳央 近畿大学, 理工学部, 教授 (60411576)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 光合成 / 励起エネルギー移動 / 光収穫タンパク質 / バクテリオクロロフィル / クロロフィル / エネルギー移動 / 光捕集タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
光合成反応の高効率性の基盤である光収穫タンパク質には、強く励起子相互作用している色素集団と励起状態が局在化している色素単量体が共存し、両者の関係性がエネルギー移動に重要である。そのため、光合成エネルギー移動の機構解明にはタンパク質内の色素集団と色素単量体の関係性の改変が有用である。そこで、紅色光合成細菌の光収穫タンパク質に結合する色素の置換によって、色素集団と単量体の機能的関係性を改変・制御する戦略を確立し、色素集団と色素単量体の関係性が励起エネルギー移動に果たしている役割を明らかにする。
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研究実績の概要 |
光合成初期過程で重要な役割を果たしている光収穫タンパク質の光機能メカニズムの解明は、光合成反応の高効率性の分子的基盤の理解に重要であると考えられる。そこで本研究では、紅色光合成細菌の光収穫タンパク質を主なターゲットとして、環状に配列し励起子相互作用している色素集団と、色素単量体の機能的関係性を改変・制御し、光吸収特性や励起エネルギー移動などの光機能への影響を明らかにすることで、これらの光収穫タンパク質の光機能メカニズムを理解するための研究を推進している。 本年度はこれまでに引き続き、紅色光合成細菌の辺縁光収穫タンパク質LH2・LH3においてエネルギー供与体として機能する単量体状態の色素(B800バクテリオクロロフィルa)の変換に関する研究を主に実施した。この色素変換を再構成的方法論で行うためには、LH2タンパク質やLH3タンパク質からB800バクテリオクロロフィルaを脱離させることが必要であるため、その脱離法の確立、およびB800脱離タンパク質の物性の理解はこの色素変換にとって重要である。そこで、B800バクテリオクロロフィルaが脱離したLH2タンパク質において観測されるB800のQy吸収帯の自動的な回復現象の解析を推進し、そのメカニズムを明らかにするとともにB800バクテリオクロロフィルaがタンパク質の安定性に与える影響を示した。また、LH3タンパク質からのB800バクテリオクロロフィルaの脱離に関する研究を推進し、タンパク質構造とアミノ酸配列が大きく類似しているにもかかわらずLH3とLH2のB800脱離挙動が異なることを明らかにするとともに、B800が脱離したLH3タンパク質を調製する指針を得た。あわせて、LH2タンパク質においてエネルギー受容体として機能する色素集団(B850バクテリオクロロフィルa)の吸収帯が外部要因によって変化する現象について研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに紅色光合成細菌の辺縁光収穫タンパク質のエネルギー供与体であるB800バクテリオクロロフィルaの改変を達成するとともに、その改変を再構成的方法論で行うために重要なB800バクテリオクロロフィルaの脱離法の開発、およびB800脱離タンパク質の物性解析を達成できているため、本研究が順調に進行していると判断した。あわせて、これらの辺縁光収穫タンパク質のスペクトル特性の変化や構造安定性といった本研究の目的達成に有用な情報が取得できていることも、本研究が順調に進行していると判断した理由である。
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今後の研究の推進方策 |
紅色光合成細菌の光収穫タンパク質LH2とLH3のエネルギー供与体であるB800バクテリオクロロフィルaの改変と機能解析をさらに推進するとともに、これらのタンパク質のエネルギー受容体である色素集団のスペクトル特性の変化の解析も推進することで、これらのタンパク質の光機能メカニズムの解明に重要な情報を取得していく予定である。また、最終年度であるため、これまでに得られた研究成果をまとめ、論文などで積極的に発表していく予定である。
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