研究課題/領域番号 |
21K06108
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
安田 賢司 千葉大学, 大学院理学研究院, 特任准教授 (40792081)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ATP駆動タンパク質 / 回転分子モーター / V1-ATPase / F1-ATPase / ATP加水分解 / 形態計測学的手法 / 水のエントロピー / 形態計測学的アプローチ / V1-atpase / 水和エントロピー / 分子モーター / V1ATPase / V1-ATPアーぜ / 水和エネルギー / 自由エネルギー関数 |
研究開始時の研究の概要 |
「パッキングの不均一性と水のエントロピー効果により回転が引き起こされる」という従来とは異なる斬新な描像に基づき、分子モータータンパク質の回転メカニズムの解明に取り組む。具体的には、軸の回転途中の構造が複数得られているV型ATPアーゼのA3B3複合体をターゲットとし、それらの構造への水のエントロピー効果を独自の手法で解析することにより分子モーター回転メカニズムの描像を構築する。
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研究成果の概要 |
V型ATPアーゼ(A3B3DF複合体)の各ヌクレオチド結合状態の構造を用いて、水のエントロピーに注目した統計熱力学解析を行い、その回転メカニズムを解明に取り組んだ。A3B3DF複合体は各サブユニットとそれらの界面の原子の充填が不均一である。ATP加水分解サイクルの各段階でAサブユニットに結合するヌクレオチドとA3B3複合体の構造が変化し、それに伴い、水のエントロピーが最大化されるようにDF軸の一方向の回転が引き起こされる。この回転を駆動するトルクは化学的自由エネルギーの入力なしに水によって生成され、ATPはトルク生成のトリガーとして必要であることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ATP駆動タンパク質は、ATPの化学エネルギーを力学エネルギーに変換して水の粘性抵抗に逆らい仕事をすると考えられているが、この描像に反する実験事実もあり統一的見解は得られていなかった。学術的意義として本研究は、これらの実験事実に矛盾しない水のエントロピーに着目した新たな駆動メカニズムの描像を提案するものであり、ATP駆動タンパク質の駆動メカニズム解明に大きな進展をもたらすと考えられる。また社会的意義として、本研究成果はナノサイズかつ高効率なモーターの産業利用や、関連する疾患の治療薬開発への応用が期待される。
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