研究課題/領域番号 |
21K06109
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金井 隆太 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任講師 (50598472)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | Na+,K+-ATPase / 能動輸送 / K+選択性 / X線結晶構造解析 / クライオ電顕単粒子解析 / 電子顕微鏡単粒子解析 / イオン選択性 |
研究開始時の研究の概要 |
Na+,K+-ATPaseのK+選択的結合機構の解明を目指して、K+結合過程の中間体構造を決定する。この過程ではK+結合とともに細胞外側ゲートが閉じること、脱燐酸化反応の開始の2つのイベントが連動している。10年以上前にK+結合状態の1つ(E2.Pi.2K+状態)の結晶構造が明らかになっているが、その後、K+結合に関するNa+,K+-ATPaseの構造解析はほとんどなく、その仕組みはよく分かっていない。そこで、本課題では2個のK+が結合する過程をX線結晶構造解析、電子顕微鏡による単粒子解析によって明らかにし、K+選択的結合とそれらのイベントがどのようにカップリングしているのかを解明する。
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研究実績の概要 |
本研究はNa+ポンプ(Na+,K+-ATPase)によるK+輸送機構、すなわちNa+ポンプは2個のK+をどのように選択的に結合するとともに脱燐酸化反応を引き起こし、細胞外ゲートを閉じて、細胞内ゲートを開くのか、を原子レベルで明らかにすることを目的としている。 今年度はK+輸送機構の理解において最重要であり、構造未決定であった、2個のK+を結合した燐酸化状態(E2P.2K)の構造決定に取り組んだ。その結果、クライオ電顕解析により高分解能で構造決定することに成功した。驚くことに得られた構造は脱燐酸化後の状態(E2.P.2K)の構造に近いものであった。既にK+結合前の燐酸化状態(E2P)とE2.P.2Kの構造は明らかになっており、その両者の間には細胞外側ゲートを閉じるために大きな構造変化が生じていることが分かっていた。その構造変化の大部分は脱燐酸化によってもたらされる、すなわち、燐酸化状態にある高エネルギーはその大きな構造変化を引き起こすことに利用されると考えていたが、今回の結果は全くそれを覆すものであった。構造変化の大部分はK+結合そのものによって引き起こされていたのである。 全ての期間を通じて、本研究は燐酸化状態E2PからK+を結合して脱燐酸化し、ATPを結合してK+を解離するK+輸送に関わるほぼ全ての中間状態を原子レベルで詳細に明らかにすることができた。その成果の一部は論文1報にまとめて報告している (R. Kanai, et al. (2023) FEBS Lett., 597(15):1957)。
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