研究課題/領域番号 |
21K06117
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 東邦大学 (2022-2023) 福岡大学 (2021) |
研究代表者 |
武藤 梨沙 東邦大学, 理学部, 講師 (10622417)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 生物時計 / 藍色細菌 / ATP / 核磁気共鳴法 / 時計タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
藍色細菌の生物時計分子装置は、時計タンパク質KaiA、KaiB、KaiCの3つから構成され、試験管内でATPと混合すると、約24時間の自律的振動を生み出す。我々は、KaiCに結合したATPの遊離量が24時間周期ではないものの振動する現象を捉えた。よって、KaiCが時計の振動子であることが強く示唆される。この実験系を用いて、温度補償性、位相のリセット機構について、機能解析を行う。
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研究実績の概要 |
生物時計は、体内の様々な生理活性を約24時間周期で制御する細胞内分子機構である。この生物時計の特性の1つに温度補償性がある。通常の化学反応であれば、反応温度が10度上がると、反応速度は2, 3倍に増加する。しかし、温度補償された分子機構では、ある一定の温度範囲内であれば反応速度は一定である。この温度補償性の現象は実験的に捉えることができるが、その分子機構の詳細については不明である。 シアノバクテリアの生物時計は、構成する時計因子がKaiA、KaiB、KaiCの3つであることから、他の生物の生物時計と比較して最も単純な時計を有していると言える。この生物時計は、3つのKaiタンパク質とATPを試験管内で混合すると、自律的な24時間周期を再現することができ、温度補償性も示す。本年度は、このKaiタンパク質を使って、温度補償性の分子機構の解明を目指した。 まずは、KaiABCの中でも振動子として働くKaiCに着目し、温度補償性に重要なアミノ酸残基の探索を行った。この実験では、温度を変更して測定できること、アミノ酸残基の構造変化を捉えられることが可能な核磁気共鳴(NMR)法を利用した。NMR測定するためには、KaiC全長では分子量が大きすぎるため、ドメインに分割して測定する必要がある。KaiCのN末端ドメインタンパク質(KaiCN)とC末端ドメインタンパク質(KaiCC)を精製し、NMR標識した。それぞれ、293 K、298 K、303 KでTROSY-HSQCの測定を行ったが、測定に用いたタンパク質濃度が低く、十分な分解能を得られなかった。大腸菌でのタンパク質の発現量を上げ、精製試料の収量を上げるため、培養条件、精製条件の細かい条件検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、産前産後休業を取得したため、その期間の研究に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
タンパク質発現向上のため、コンピテントセルの変更や細胞破砕の条件を検討する。これまで、超音波破砕機で細胞を破砕していたが、細胞が破砕しきれておらず、発現タンパク質の多くが遠心分離で不溶性画分に回収されていた。試薬添加や超音波以外の破砕方法を検討することで、回収効率を上げる。 また、昨年度からの実験の引き続きであるATP遊離測定について、変異体を作製したので順次測定を進める。
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