研究課題/領域番号 |
21K06126
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43050:ゲノム生物学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
平良 眞規 中央大学, 理工学部, 共同研究員 (60150083)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 異質倍数体 / アフリカツメガエル / キタアフリカツメガエル / サブゲノム / 非対称進化 / 種間雑種 / RNA-seq発現解析 / 異質倍数化 |
研究開始時の研究の概要 |
異質倍数体化は、種Lと種Sの交雑と全ゲノム重複によりいきなり新種LSが出現するという不連続な進化をもたらす。新種LSがもつサブゲノムLとSは進化速度は同じではなく非対称進化を示す。本研究は、アフリカツメガエルとキタアフリカツメガエルを用いて異質倍数体を作成し、種間およびサブゲノム間の優位性を解析し、非対称進化の検証を行う。これは脊椎動物の祖先種での2回の倍数体化の意義について重要な知見をもたらす。
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研究実績の概要 |
異質四倍体のアフリカツメガエルがもつ2つのサブゲノムLとSが非対称進化をすることが全ゲノム解析により見いだされた。そこで本研究では、サブゲノムの非対称進化のメカニズムを実験的に検証するため、アフリカツメガエルXenopus laevis(Xlと表記)とその姉妹種のキタアフリカツメガエルX. borealis(Xbと表記)を用いて人為的に雑種体と異質倍数体を作成し、そのゲノム解析と遺伝子発現解析を行う計画である。発現解析の予備実験としてはXl/Xb雑種胚を用いて行うのが当初の計画であるが、その前提としてXlのXbのRNA-seqデータが必要である。XlのRNA-seqデータは既に公表されており、Xbについては我々の先行研究において成体の卵巣、肝臓、膵臓、腎臓、脳、脂肪組織のRNA-seqデータは取得していた。そこで本研究では、肺、脾臓、胃、消化管、皮膚、心臓、筋肉(大腿筋)、眼のRNAを調製し、RNA-seqデータを得た。計14の器官・組織のRNA-seqデータを用いて、アメリカUC BerkleyのDan Rokhsar博士のグループから提供を受けたゲノム配列に当てて解析した。その結果、101,896個のtranscriptsと96,753個のgenesが予測された。次にborealisのサブゲノムLとSに分けて数えると、両サブゲノムに1つずつ存在する遺伝子は8,126個、どちらか一方にのみ存在する遺伝子は5162個であり、計13,288個が同定された。すなわちゲノム重複で生じた2つの同祖遺伝子のうち61.2%がそのまま保持されていることを示している。この数値はX. laevisの最新のgenome sequenceを用いて得られた値の65.4%に近いものである。このように妥当な結果が得られたことより、XbのRNA-seqデータは今後の解析に有用であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナによる緊急事態宣言の発令時や新規感染者増大による自粛により、雇用者の勤務時間の短縮と日数の縮小により実験時間が少なくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
1)X. borealisのRNA-seqデータを用いた発現解析: 昨年度の解析で、X. borealis(以下Xb)のgene modelsはX. laevis(以下Xl)との比較に用いることができるものと判断できたので、XbとXlの比較により、同祖遺伝子LとS(以下L/S遺伝子)のペアの保持に関しての両者の共通性、組織でのL/S遺伝子間の発現の差異の共通性を調べる。この解析により、1800万年前に起きた異質倍数化とその直ぐ後に分岐したX. laevisとX. borealisのL/S遺伝子の非対称進化が、共通のメカニズムによるのか、独自に進行したかの検証が可能となる。なお、現在点のX. borealisのgene modelsにはクラスターを形成している遺伝子は抜けているので、必要に応じてそのような遺伝子の追加作業を行う。 2)Xl/Xb雑種胚と成体各組織での発現解析: XbのL/S遺伝子、XlのL/S遺伝子、の合計4つの同祖遺伝子の発現動向の異同を調べる。注意すべき点は、L同士(Xb-LとXl-L)とS同士(Xb-SとXl-S)は進化的にそれぞれのLとSの関係よりも近いので、正しく区別されて発現量を検出できるかを検証することである。この知見は、Xl/Xb異質倍数体における4つの同祖遺伝子間の発現の異動を解析する基盤となる。 3)Xl/Xb異質八倍体の作出: 我々の先行研究で進めている課題であるが、未だ効率よく作出できておらず、これまでの問題点を整理して対策を立てることで、本研究でも継続して検討する。
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