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脳機能に関わる哺乳類特異的獲 得遺伝子群の解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K06127
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分43050:ゲノム生物学関連
研究機関東海大学

研究代表者

石野 知子 (金児知子)  東海大学, 医学部, 客員教授 (20221757)

研究分担者 松本 裕  東海大学, 医学部, 講師 (80609230)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード哺乳類特異的獲得遺伝子 / SIRH/RTL遺伝子群 / 脳機能 / 自然免疫 / ミクログリア / Sirh10/Rtl9 / 真菌 / Sirh11/Rtl4 / Sirh3/Rtl6, Sirh8/Rtl5 / LPS / 2本差RNA / 獲得遺伝子 / SIRH/RTL遺伝子 / レトロトランスポゾン / GAGタンパク質 / GAG
研究開始時の研究の概要

SIRH/RTL遺伝子群は哺乳類にのみ存在する遺伝子11個からなる。これらは現存のsushi-ichiレトロトランスポゾンに20~30 %の相同性を有しており、もともとは外来のレトロウイルスに由来し、哺乳類において内在遺伝子化した獲得遺伝子であると考えられる。申請者は一連のノックアウトマウスの解析から、これら遺伝子群が哺乳類の個体発生(特に胎盤と脳機能)に重要な役割を果たすことを明らかにしてきた。本研究では11個のうち、行動異常の原因となる4遺伝子を対象とし、蛍光タンパク質の遺伝子を融合したノックイン マウスの解析を行い、行動異常の原因となる脳部位や発現する神経細胞種、発現時期などを特定する。

研究実績の概要

ウイルス由来と考えられる哺乳類特異的遺伝子Sirh10/Rtl9は、ウイルスのGag遺伝子部分を共通にもつ11個の遺伝子群(我々はSirh遺伝子群と呼んでいる)のうちのひとつである。我々は同じ遺伝子群のPeg10、Peg11/Rtl1、Sirh7の3遺伝子は哺乳類の胎生に必須である胎盤の形成・機能維持・妊娠に関わるホルモン量のコントロールなどに重要であることを解明し、論文で報告している。哺乳類になって獲得した新しい遺伝子がほ哺乳類の特徴に関わっているという具体例を示すことができたと考えている。また遺伝子群内のSirh3/Rtl6・Sirh8/Rtl5は胎盤の形成・機能には無関係であったが脳で発現し、Sirh3遺伝子の後ろに蛍光タンパク質のVenus遺伝子をつないだノックインマウスとSirh8遺伝子の後ろに蛍光たんぱく質mCehrryの遺伝子をつないだノックインマウスの解析から、脳の免疫細胞であるミクログリアで発現することがわかった。タンパクの挙動を共焦点レーザー顕微鏡で解析したところ、Sirh3は細菌のLPS(リポポリサッカライド)と結合して凝集し、Sirh8は2本鎖RNAと結合して凝集し、遺伝子ごとにターゲットとなる感染源が異なり、脳内における感染防御(自然免疫)に関わることを解明した。23年度はSirh遺伝子群のSirh10/Rtl9遺伝子にmCehrryの遺伝子をつないだノックインマウスの解析から、Sirh10タンパク質はやはりミクログリアで発現し、真菌類を認識して機能していることを見出し、論文で発表した。進化の過程で獲得したウイルス由来の遺伝子が細菌・ウイルス・カビなどの感染源に対抗するように機能分化したと考えられる。さらにSirh11/Rtl4-Venusのノックインマウスの解析を行い、Sirh11もミクログリアで発現することを突き止め、機能解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

脳の自然免疫に働く3つのウイルス由来の獲得遺伝子、Sirh3/Rtl6・Sirh8/Rtl5・Sirh10/Rtl9について、機能を解明し論文として発表した。哺乳類特異的なウイルス由来(ウイルスのGag部分に相同性がある)の遺伝子が脳内の感染を防御するような機能を持っていたことは、世界的にも新しい発見である。

今後の研究の推進方策

Sirh/Rtl遺伝子群のひとつであるSirh11/Rtl4は脳で発現しており、ノックアウトマウスの解析では行動異常が見られている(2014年論文発表済み)。2023年度の研究で、Sirh11遺伝子がミクログリアで発現していることはわかってきたが、脳の自然免疫に関わっているかどうかは不明である。Sirh11/Rtl4の脳での機能を明らかにし、論文として投稿することを目指す。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (20件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Retrovirus-Derived RTL9 Plays an Important Role in Innate Antifungal Immunity in the Eutherian Brain2023

    • 著者名/発表者名
      Fumitoshi Ishino, Johbu Ito, Masahito Irie, Ayumi Matsuzawa, Mie Naruse, Toru Suzuki, Yuichi Hiraoka and Tomoko Kaneko-Ishino.
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 24 号: 19 ページ: 14884-14884

    • DOI

      10.3390/ijms241914884

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Retrovirus-Derived RTL/SIRH: Their Diverse Roles in the Current Eutherian Developmental System and Contribution to Eutherian Evolution2023

    • 著者名/発表者名
      Kaneko-Ishino Tomoko、Ishino Fumitoshi
    • 雑誌名

      Biomolecules

      巻: 13 号: 10 ページ: 1436-1436

    • DOI

      10.3390/biom13101436

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Roles of retrovirus-derived PEG10 and PEG11/RTL1 in mammalian development and evolution and their involvement in human disease2023

    • 著者名/発表者名
      Shiura Hirosuke、Kitazawa Moe、Ishino Fumitoshi、Kaneko-Ishino Tomoko
    • 雑誌名

      Frontiers in Cell and Developmental Biology

      巻: 11 ページ: 1273638-1273638

    • DOI

      10.3389/fcell.2023.1273638

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Retrovirus-derived RTL5 and RTL6 genes are novel constituents of the innate immune system in the eutherian brain.2022

    • 著者名/発表者名
      Masahito Irie, Johbu Ito, Ayumi Matsuzawa, Masahito Ikawa, Hiroshi Kiyonari, Miho Kihara, Toru Suzuki, Yuichi Hiraoka, Fumitoshi Ishino, Tomoko Kaneko-Ishino.
    • 雑誌名

      Developmennt

      巻: 149 (18): dev200976. 号: 18

    • DOI

      10.1242/dev.200976

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] The Evolutionary Advantage in Mammals of the Complementary Monoallelic Expression Mechanism of Genomic Imprinting and Its Emergence From a Defense Against the Insertion Into the Host Genome2022

    • 著者名/発表者名
      Kaneko-Ishino Tomoko、Ishino Fumitoshi
    • 雑誌名

      Frontiers in Genetics

      巻: 13

    • DOI

      10.3389/fgene.2022.832983

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Retrovirus-derived acquired genes, RTL5 and RTL6, are novel constituents of the innate immune system in the eutherian brain.2021

    • 著者名/発表者名
      Irie M, Ithoh J. Matsuzawa A, Ikawa M, Suzuki Y, Hiraoka Y, Ishino F and Kaneko-Isihno T.
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: 2021 ページ: 2021-2021

    • DOI

      10.1101/2021.12.29.474483

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] PEG10 viral aspartic protease domain is essential for the maintenance of fetal capillary structure in the mouse placenta2021

    • 著者名/発表者名
      Hirosuke Shiura, Ryuichi Ono, Saori Tachibana, Takashi Kohda, Tomoko Kaneko-Ishino and Fumitoshi Ishino
    • 雑誌名

      Development

      巻: 148 号: 19 ページ: 1-7

    • DOI

      10.1242/dev.199564

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 胎盤形成と機能に関わるレトロウイルス由来の遺伝子について2023

    • 著者名/発表者名
      石野史敏、金児-石野知子
    • 学会等名
      第68回日本生殖医学会シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 真獣類特異的レトロウィルス由来遺伝子 Sirh4,5,6 の機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      藤岡慶史、志浦相寛、石井雅之、小野竜一、遠藤 墾、平手良和、伊藤日加瑠、金井正美、金児-石野知子、石野史敏
    • 学会等名
      第46回 日本分子生物学会年会 シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] レトロウイルス由来PEG10遺伝子の新規機能と哺乳類進化への関与2023

    • 著者名/発表者名
      志浦寛相、藤井万由子、片口紗那、安藤史竜、中島望、大我政敏、若山照彦、幸田尚、金児-石野 知子、石野史敏
    • 学会等名
      第46回 日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] レトロウイルス由来のRTL/SIRH遺伝子群による真獣類脳の自然免疫機構の進化-RTL9/SIRH10の真菌に対する脳の自然免疫機能-2023

    • 著者名/発表者名
      石野史敏、伊東丈夫、入江将仁、松沢歩、金児-石野知子
    • 学会等名
      第46回 日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 脳の自然免疫の最前線で機能するレトロウイルス由来の遺伝子 Sirh3/Rtl6とSirh8/Rtl52022

    • 著者名/発表者名
      石野 史敏 入江 将仁 金児-石野 知子
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 哺乳類特異的な獲得遺伝子群の同定と機能2021

    • 著者名/発表者名
      金児-石野 知子
    • 学会等名
      2021年日本バイオインフォマティクス学会年会・ 第10回生命医薬情報学連合大会(IIBMP2021)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] Cooperative interaction between two retrovirus-derived genes, Peg10 and Peg11/Rtl1, in the feto-materal interface of placenta(レトロウイルス由来のPeg10とPeg11/Rtl1の胎盤の母子境界における協調作用について)2021

    • 著者名/発表者名
      石野 史敏 志浦 寛相 幸田 尚 金児ー石野 知子
    • 学会等名
      第44回分子生物学会年会シンポジウム Fetomaternal interactions in development
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 脳内自然免疫における真獣類特異的遺伝子Sirh3/Rtl6の機能について2021

    • 著者名/発表者名
      金児-石野知子 入江 将仁 伊東 丈夫 石野 史敏
    • 学会等名
      第44回分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] レトロトランスポゾン/ウイルス由来PEG10遺伝子の新規機能と哺乳類進 化への関与2021

    • 著者名/発表者名
      志浦 寛相 藤井 万由子 大我 政敏 若山 照彦 幸田 尚 金児-石野 知子 石野 史敏
    • 学会等名
      第44回分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 神経系における真獣類特異的遺伝子PEG11/RTL1の役割と鏡-緒方 症候群およびテンプル症候群への影響2021

    • 著者名/発表者名
      北澤 萌恵 酢谷 明人 金児-石野 知子 石野 史敏
    • 学会等名
      第44回分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] HERV由来配列ERVPb1は真猿型下目で保存され、マクロファージを含ん だ造血細胞系列で発現を示2021

    • 著者名/発表者名
      松沢 歩 李 知英 中川 草 伊東 丈夫 上田 真保子 三橋 里美 高地 雄太 金児-石野 知子 石野 史敏
    • 学会等名
      第44回分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 真獣類特異的に存在するレトロトランスポゾン遺伝子Sirh4, 5, 6の機能解析2021

    • 著者名/発表者名
      藤岡 慶史 石井 雅之 志浦 相寛 小野 竜一 伊藤 日加瑠 平手 良和 遠藤 墾 金井 正美 金児-石野 知子 石野 史敏
    • 学会等名
      第44回分子生物学会年会ワークショップ 転移因子コードがもたらすゲノム制御機能
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 真獣類特異的に存在するレトロトランスポゾン遺伝子Sirh4, 5, 6の機能解析2021

    • 著者名/発表者名
      藤岡 慶史 石井 雅之 志浦 相寛 小野 竜一 伊藤 日加瑠 平手 良和 遠藤 墾 金井 正美 金児-石野 知子 石野 史敏
    • 学会等名
      第44回分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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