研究課題/領域番号 |
21K06144
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 大阪大学 (2023) 東北大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
梅津 大輝 大阪大学, 大学院理学研究科, 講師 (60620474)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Toll受容体 / 上皮組織 / ショウジョウバエ / 位置情報不適合 / 細胞排除 / 発生ロバストネス / 組織恒常性 / 細胞表面認識 / 位置不適合性 |
研究開始時の研究の概要 |
上皮組織は恒常性を維持するために常に組織の状態を監視し、異常な細胞が生じた場合に、直ちに排除する仕組みを備えている。しかし、この過程において細胞同士がどのようにして異常か正常かを認識しているのかは明らかになっていない。申請者は最近、複数のToll受容体が同一組織内の異なる領域で発現していることを発見した。このことから、Toll受容体群の発現が位置情報を反映し、周囲の細胞との適合性を評価する細胞表面認識コードとして機能する可能性が考えられる。本研究では、Toll受容体群の発現パターンと分子機能の解明を切り口に、位置情報不適合性の認識と異所的細胞集団の排除メカニズムの実体を明らかにする。
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研究実績の概要 |
上皮組織は恒常性を維持するために常に組織の状態を監視し、突然変異などによって異常な細胞が生じた場合に、それらを直ちに排除する仕組みを備えている。特に、組織形成過程においては、周囲の細胞と位置情報が適合しない細胞は組織から分離・排除されることが示されている。しかし、この過程において細胞同士がどのようにして異常か正常かを認識しているのかは明らかになっていない。この問題に取り組むためにライブイメージングによる細胞動態の解析が可能なショウジョウバエの腹部上皮組織をモデルとして用いた。細胞間の認識に重要な機能を果たすと考えられるToll受容体の上皮組織における機能が近年注目されている。Toll受容体は上皮組織においてダイナミックな発現パターンを示す。本研究では、複数のToll受容体が同一組織内の異なる領域で発現しているという独自の知見に基づき解析を進めた。ショウジョウバエゲノムに9つあるToll受容体のうち、腹部上皮組織で発現する4つのToll受容体に注目し、独自に作成したVenus蛍光タンパク質のノックイン系統を用いて発現パターンの詳細を解析した。それにより、4つのToll受容体が少しずつオーバーラップしながらもそれぞれが異なる領域で発現していることを示した。複数のToll受容体に対するshRNAを同時に発現し、ノックダウンすることができるショウジョウバエ系統の作成に必要な、それぞれのToll受容体に対するshRNAのDNAコンストラクトが作成できた。また、Toll受容体の発現制御を担う発生シグナルを同定するために、Toll受容体のノックインを用いて内在性のToll受容体を可視化しつつ、モザイク解析によって発生シグナルを阻害、または過剰発現する系を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上皮組織のパターン形成で機能するTGF-beta、Wnt、Hedgehogなどのシグナル伝達経路の変異体の体細胞クローン解析を行う予定であったが、異動に伴って人材が不足したために解析が遅れた。現在、4つのToll受容体それぞれについて解析に必要な系統が全て樹立された状況にある。また、共免疫沈降と質量分析によってToll受容体の細胞内ドメインと相互作用する因子を同定する実験の条件検討を行なっているところであり、上記の評価となった。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者が昨年度4月に新たな研究機関に異動したため、本プロジェクトへの人員の確保が課題となっていたが、期間を一年延長し、今年度新たに配属される学生の参画などを通じて克服する。ショウジョウバエ腹部上皮で発現する4つのToll受容体遺伝子について、機能阻害、もしくは過剰発現する体細胞クローンを組織内に作出し、それぞれの遺伝子発現の不連続性が細胞集団の分離と排除にどのように寄与するかを明らかにする。また、Toll受容体遺伝子の発現を制御する上流遺伝子を同定するために、上皮組織のパターン形成で機能するTGF-beta、Wnt、Hedgehogなどのシグナル伝達経路の変異体の体細胞クローン解析を行う。また、共免疫沈降と質量分析によってToll受容体の細胞内ドメインと相互作用する因子を同定する実験の条件検討を行なっている。以上から、当初研究計画は本年度中に遂行できる見込みである。
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