研究課題/領域番号 |
21K06150
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山城 佐和子 京都大学, 生命科学研究科, 講師 (00624347)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 細胞接着 / アクチン細胞骨格 / 蛍光1分子顕微鏡 / 定量生物学 / メカノバイオロジー / 細胞内1分子顕微鏡 / インテグリン / アクチン / 接着斑 / 細胞内定量解析 / シミュレーション / 細胞内1分子顕微鏡 / 細胞内蛍光1分子イメージング / アクチン線維流動 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞-基質間接着(接着斑)形成と細胞仮足の伸展は、がん細胞の運動亢進や神経突起伸長に重要である。本研究では、求心性アクチン流動と接着斑の連関の生理的意義として以下の3つの作業仮説を設定し、これらを検証する。モデル1: アクチン流動が接着斑構成分子の集積に寄与する可能性。モデル2: 局所的なアクチン流動速度の違いにより、アクチンをアンチパラレルに編成する可能性。モデル3:アクチン流動に起因する接着斑分子の勾配配置が接着斑の編成に寄与する可能性。本研究は、動的なアクチンネットワークと細胞の足場構造である接着斑の相互作用を明らかしに、細胞運動の新たな分子メカニズムの理解を目指す。
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研究実績の概要 |
細胞は、接着装置を介して細胞の中の力を細胞外の構造に伝える。アクチン細胞骨格は、細胞内で力を発生しながら動くダイナミックな構造体である。接着装置は多様なタンパク質により構成されるが、動き続けるアクチン構造の動力を、どのように細胞外の構造に伝達するのかはわかっていなかった。本研究では、ダイナミックなアクチン細胞骨格を細胞足場に連結する機構の解明を目的とした。 最終年度は、これまでの研究成果を国際学術誌に投稿し、査読者からの意見に対して追加実験と、データ解析、及び、原稿の修正を行った。複数回の査読を完了し、研究成果をNature Communications 誌に発表した。 本研究では、主要な接着斑タンパク質であるタリン (talin) の細胞内蛍光1分子イメージングを行った。培養細胞内でタリンを1分子ごとに観察すると、ほとんどのタリン分子は、基質に連結して止まっているか、アクチン線維に結合して流動しているかの2種類のふるまいに大別できることがわかった。より高い時空間解像度で詳細に観察すると、わずか4%程度のタリン分子が、流動するアクチン線維と基質を、平均約1.5秒のあいだ伸展しながら一過的に連結する過程 (elastic transient clutch) を可視化することに成功した。さらに、数理モデル解析により、流動するアクチン線維と基質を連結するタリン分子に、アンフォールドできるサブドメインが一つでもあると、連結時間が長くなり流動力の伝達が増大することを明らかにした。以上の結果より、ごく一部のタリンが、確率的におこる結合により流動するアクチン線維と基質の間を連結し、連結したタリンは流動力に引っ張られてほどける(メカニカル・アンフォールディングする)ことでアクチン線維と基質の間の連結を持続し、流動力を基質に伝達することを明らかにした。
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