研究課題/領域番号 |
21K06156
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
東 智仁 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (70515072)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 密着結合(タイトジャンクション) / クローディン / EpCAM / セリンプロテアーゼ / 膜繋留型セリンプロテアーゼ(MASP) / 上皮細胞 / ZnUMBA / バリア機能 / タイトジャンクション / 密着結合 / プロテアーゼ / バリア機構 |
研究開始時の研究の概要 |
密着結合(タイトジャンクション)は、上皮細胞のバリア機能を司る細胞間接着である。これまで、密着結合を主体的に構成するクローディン分子が上皮細胞の管腔側だけで重合して密着結合を形成する仕組みや、密着結合が細胞周囲の力学的な環境変化によって生じる微細な損傷を感知し修復する仕組みは明らかになっていなかった。 本研究は、これまで密着結合における役割の知られてこなかった膜繋留型セリンプロテアーゼとその基質を切り口として、動的な密着結合の形成・修復過程におけるこれらの分子の役割を解明することにより、上皮細胞のバリア機能が恒常的に保たれる仕組みの一端を明らかにすることを目的とする。
|
研究実績の概要 |
密着結合(タイトジャンクション)は、上皮細胞の細胞間を透過する物質の移動を制御・制限することによって、上皮組織のバリア機能を司っています。本研究は、密着結合に生じる微細な破綻が迅速に修復されることによってバリア機能が不断に維持される仕組みについて解析しています。 密着結合は重合したクローディンによって構成されるTJストランドと呼ばれる微細構造を中心として構成されていますが、これまで、低濃度のプロテアーゼが作用すると新規のTJストランドが形成されること、この時にEpCAMという膜タンパク質が部分分解を受けることを見出しました。EpCAMは未重合のクローディン1・クローディン7と複合体を形成しており、プロテアーゼによる部分分解によってこれらのクローディンが解放され、重合できるようになることが分かりました。 EpCAMは内在性のプロテアーゼによって一部部分分解を受けていることから、責任プロテアーゼを探索し、膜繋留型瀬リンプロテアーゼ(MASP)を見出しました。イヌ培養上皮MDCK II細胞に発現する4種類のMASP全てをノックアウトするとバリア機能が低下すること、その低下は、自発的に生じた微細なキズの修復が遅れるためであることを独自に開発したバリア機能ライブイメージングアッセイ系ZnUMBAを用いて示しました。 EpCAM/クローディン7によるバリア機能の修復が生体内でも見られるかを調べるためマウス小腸の免疫染色を行い、細胞が新陳代謝に応じて脱離することが知られている絨毛先端において特異的にクローディン7が重合していることを見出しました。 これらの結果を元に論文を執筆し、2023年初頭にJournal of Cell Biology誌に掲載されました。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、3年間かけて検証していくことを計画していた実験のほとんどを2年で終え、論文の採択まで達成できました。さらに、当初は想定していなかった発想を着想し、細胞間接着部位において重合しているクローディンのみを特異的に染色する技術が開発でき、想定している分子機構が実際に生体内でも機能していることを示唆するデータが追加できました。
|
今後の研究の推進方策 |
密着結合は、TJストランドの新規合成と分解のバランスによって恒常性を維持していると考えられています。今回の論文では新規合成の部分に焦点をあてて解析を行いましたが、分解が起きる仕組みはほとんど解明されていません。また、3つの上皮細胞が接する点では、2細胞間の密着結合とは全く異なる仕組みで密着結合(と接着結合)が維持されていることを示唆する結果を得ています。最終年度は、こうした点を解明することをを目指しています。
|