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オーファン受容体Adgrf5による糸球体濾過障壁の恒常性維持機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06167
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分44010:細胞生物学関連
研究機関東京工業大学

研究代表者

中村 信大  東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (80361765)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードGPCR / 血管内皮細胞 / 腎臓 / 糸球体 / 細胞内情報伝達 / 血管内皮 / 受容体 / 血管
研究開始時の研究の概要

腎臓の糸球体の毛細血管壁には,尿生成の第一段階である血液濾過を担うバリアー(濾過障壁)が備わっており,その構造異常は腎疾患を誘発することが知られている。しかし,濾過障壁がどのようにして形成・維持されているかは不明点が多い。私たちはオーファン受容体Adgrf5の欠損マウスの解析から,Adgrf5が濾過障壁を構成する血管内皮細胞の形態維持に働き、糸球体機能に重要である可能性が高いことを見出した。本研究の目的は,糸球体血管内皮細胞におけるAdgrf5の作用機構を解明し,濾過障壁の恒常性維持とその破綻による病態発症のプロセスを説明できるようにすることである。

研究実績の概要

今年度は、まず、ADGRF5のシグナリング経路と特定とADGRF5の影響下にある遺伝子の同定を行った。ADGRF5の部分配列の合成ペプチドを用いて、ADGRF5安定発現HEK293細胞株、ヒト初代糸球体血管内皮細胞、マウス肺血管内皮細胞を処理したところ、細胞内カルシウムイオン濃度の上昇を検出した。ADGRF5欠損マウス由来の細胞ではこの細胞内カルシウムイオン上昇は認められなかった。したがって、ADGRF5は血管内皮細胞ではカルシウムシグナル応答をすることが示された。ADGRF5ノックアウトマウス由来の血管内皮細胞及び、ADGRF5をノックダウンした初代血管内皮細胞では転写因子KLF2の遺伝子発現が上昇することを明らかにし、ADGRF5が血管機能に重要な役割を担うKLF2の発現制御に関与していることが示唆された。次に、ADGRF5欠損マウスの腎臓切片の染色実験および電顕解析を行い、糸球体血管内皮細胞のグリコカックスの量が低下していることを認め、すでに明らかにしている腎機能低下の原因の一部を担っている可能性が示唆された。さらに、ADGRF5欠損マウスの糸球体における一酸化窒素産生量について解析したところ、一酸化窒素の量が野生型マウスに比較してADGRF5欠損マウスで減少していることを認めた。KLF2が発現上昇している条件ではあるが、一酸化窒素量が減少しており血管機能に異常が起こっていることを示す新たなデータが得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ADGRF5のシグナル経路の特定、影響下にある遺伝子の同定、ADGRF5欠損の糸球体血管内細胞の新たな異常の発見を行うことができ、糸球体濾過障壁の恒常性維持におけるADGRF5の重要性について示すことができたため。

今後の研究の推進方策

血管内皮細胞のADGRF5がどのようなメカニズムで活性化されるのかを明らかにすることが重要だと考えている。ADGRF5は接着型GPCRファミリーに属しているが、他の接着型GPCRファミリー分子の中にはshear stressやストレッチ刺激などの力学的刺激によって活性化して細胞応答を引き起こすことが報告されている。ADGRF5は血管内腔表面に局在していることから、血流刺激などによって活性化される可能性が考えられる。今後は、力学的刺激とADGRF5の活性化との関係性の有無について明らかにする解析を進めていく予定である。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] Karolinska Institute(スウェーデン)

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Orphan GPR116 mediates the insulin sensitizing effects of the hepatokine FNDC4 in adipose tissue2021

    • 著者名/発表者名
      Georgiadi A, Lopez-Salazar V, Merahbi RE et al.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 12 号: 1 ページ: 2999-2999

    • DOI

      10.1038/s41467-021-22579-1

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] タバコ煙抽出液処理がマウス肺血管内皮細胞におけるGタンパク質共役型受容体Adgrf5およびKLF2の発現に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      山田翔太、中村信大
    • 学会等名
      18th TOIN International Symposium on Biomedical Engineering 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Gタンパク質共役型受容体ADGRF5のKLF2の遺伝子発現に与える影響および機械刺激応答への関与2023

    • 著者名/発表者名
      山本一輝、加藤真子、別府義彬、長瀬美樹、中村信大
    • 学会等名
      18th TOIN International Symposium on Biomedical Engineering 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Targeted disruption of GPR116 (ADGRF5) impairs the integrity of the glomerular filtration barrier in mice2022

    • 著者名/発表者名
      中村信大
    • 学会等名
      TOIN International Symposium on Biomedical Engineering 2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 細胞外マトリックス異常を伴うノックアウトマウスを用いたGPCR分子の新機能解明を目指した研究2022

    • 著者名/発表者名
      中村信大、山田翔太
    • 学会等名
      第一回LiHubバイオマトリックスミニシンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 研究室のウェブページ

    • URL

      http://www.nnakamura.bio.titech.ac.jp/research.html

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 研究室のウェブページ

    • URL

      http://www.nnakamura.bio.titech.ac.jp/TOP.html

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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