研究課題/領域番号 |
21K06187
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
須山 律子 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 特任助教(常勤) (30574652)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ショウジョウバエ / 微生物叢 / 生殖幹細胞 / 卵形成 / ホルモン経路 / トランスクリプトーム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
環境要因の一つである微生物叢は、宿主の栄養摂取、代謝の維持といった生命機能の保持に関わる。貧栄養条件で飼育された個体では微生物叢の影響により栄養摂取が促進され生殖機能を増進するなど、微生物叢と生殖能力との関連性が多く議論されている。本研究では、微生物叢によって引き起こされる卵形成亢進作用の分子基盤の解明を目指す。微生物叢の作用により、脳、腸の組織が個体内のどの分子経路を連携して卵発生の初期段階で生殖幹細胞を活性化し、その後の卵成熟促進に寄与するかの制御機構を解明する。遺伝学的解析および組織学的解析が容易なショウョウバエの解析から、哺乳類などの脊椎動物に通じる普遍的な分子経路の解明を試みる。
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研究成果の概要 |
本研究では、環境因子である微生物叢及びその分泌物質が生体雌での生殖幹細胞の増殖促進と細胞死の抑制、成熟卵の分裂速度の上昇に寄与し、これらの相加的な作用が卵形成を促進することを明らかにした。また、メタゲノム解析で同定した微生物株の培養液でも同様に卵形成が促進できることを見出した。微生物叢により活性化される卵形成亢進は、昆虫の変態ホルモンとして知られているエクジソン、幼若ホルモンが関与することを明らかにし、さらにこれらのホルモン経路による卵形成の亢進は、体細胞に発現している受容体からのシグナルが生殖幹細胞に伝達されることによる非自律的な細胞間相互作用によることが解明できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
動物の皮膚や粘膜面に存在する数百種類の常在細菌は数十および数百兆個からなる細菌叢(マイクロバイオーム)を形成し、宿主の免疫、代謝、生殖機能などの生理作用に影響を与えている。ヒトを含む哺乳類だけでなく、ショウジョウバエなどの無脊椎動物でも微生物叢の生殖機能に関する影響についての報告があるが、その分子基盤やそれを制御するシグナル経路は解明されていなかった。本研究では、マイクロバイオーム及びその分泌物質の影響受けて亢進する生殖機能の分子基盤を解明した。我々の知見は、ヒトにも適用できる普遍的な分子経路の解明に繋がり、生殖機能の亢進をもたらす手立てを提供できる。
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