研究課題/領域番号 |
21K06190
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
嶋村 健児 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (70301140)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 脳発生 / 神経幹細胞 / 力学刺激 / 細胞増殖・分化 / 脳脊髄液 / 脳室内圧 / 細胞間張力 |
研究開始時の研究の概要 |
脳発生において、神経幹細胞は自己増殖したのち、ニューロンやグリアを産生する。このプロセスについて、エピゲノム制御など神経幹細胞の内的要因に関する研究が進んでいるが、外的要因に関する研究は少なく、メカニズムの全容解明には至っていない。本研究では、神経幹細胞にかかる力学的作用として、脳脊髄液の液圧とそれに起因する細胞間の張力に注目し、神経幹細胞の増殖・分化に対する影響、脳発生に伴う脳室内圧、および張力の変化を明らかにする。力学変化によって神経幹細胞が増殖から分化モードへ移行し、脳室内圧の経時的変化が神経分化のタイマーとして寄与するという仮説を検証し、当該分野に全く新しい概念を創出する。
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研究成果の概要 |
本研究は、脳のサイズ決定の要因となる神経幹細胞の増殖期から分化期への移行について、発生期の脳室内圧に起因する力学的要因が果たす役割を明らかにするのが目的である。まず、発生中の胚の脳室内圧を測定する方法を開発し、脳発生の各段階における脳室内圧の変化を調べた。次に、脳室内圧の変化が、神経幹細胞の増殖・分化に及ぼす影響を明らかにするため、ニワトリ胚を用いて脳室内圧を変化させる実験を行った。その結果、脳室内圧の変化に呼応して神経幹細胞の増殖、および分化状態が変化した。これらの結果より、脳脊髄液を介した脳室内圧による力学刺激は、脳発生に重要な働きをしていることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脳の多様性をもたらした発生のしくみは、ヒトの脳の成り立ちの理解につながる点で学術的、社会的に関心が高い。神経幹細胞の増殖から分化への移行メカニズムは、エピゲノム制御などの内的要因、分泌シグナル等の外的要因が研究されているが、力学的要因に着目した本研究知見はこれに新たな展開をもたらす。一般に、発生現象における時間制御は、代謝等の生化学的反応に基づくしくみが知られているが、純粋に物理的要因によるしくみは画期的である。また、微小空間の微小圧力の計測法は、発生のみならず、疾患、損傷、臓器再生時の細胞を取り巻く物理的環境を明らかにし、オルガノイド作製などin vitroで再現するために有用である。
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