研究課題/領域番号 |
21K06195
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
横山 仁 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (90455816)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 四肢再生 / 両生類 / 再生 / ツメガエル / 四肢 |
研究開始時の研究の概要 |
ツメガエルは幼生では完全な四肢を再生するが成体では1本の棒状軟骨しか再生しない。本研究では熱ショックを利用した局所的な遺伝子発現の誘導を利用して、再生能力の差の原因に迫る。まず成体の再生芽では発現しないパターン形成遺伝子、shh(sonic hedgehog)を本来の位置で発現させてパターン形成を回復する。更に成体での再生能力の低下の別の原因と予想される過剰な軟骨分化を抑制するために、軟骨分化に働くsox9遺伝子の機能をドミネガ型(優性阻害型)sox9の発現誘導により阻害する。パターン形成と細胞分化の両面でツメガエル成体に可能な限り完全な四肢を再生させ、再生能力の差の原因を実証する。
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研究実績の概要 |
本研究は幼生では完全な四肢を再生するが、成体では1本の棒状軟骨しか再生しないツメガエルを対象にして、パターン形成と細胞分化の両面から成体の四肢再生を回復させ、再生能力の差の原因を実証することを目的としている。パターン形成遺伝子(shh)を強力に発現する遺伝子組換え(Tg)ツメガエルの系統では生存率が下がることから、前年度までは個体を得ることが困難であったが、飼育方法の改良などにより現在は個体が得られるようになった。さらに四肢再生における遺伝子の機能解析を実現する方法として、温めたアガロースゲルで付属肢特異的な遺伝子発現を誘導する方法を開発して、アフリカツメガエルとイベリアトゲイモリで利用できるようにした(Matsubara, Kawasumi-Kita, Nara et al., Dev Growth Differ, 2023)。さらにshh遺伝子の四肢特異的なエンハンサーを可視化したTgツメガエルを用いて、エンハンサーが成体の四肢で不活性化することに関連して、同エンハンサーのDNAのメチル化率がTgツメガエルにおいても幼生と比べて成体で高くなることを示した(Tada, Higashidate et al., bioRxiv, 2022)。 細胞分化については、軟骨分化のカギとなるSox9タンパク質の局在を蛍光免疫染色で可視化し、ツメガエルの幼生と成体のそれぞれの四肢再生で比較した。その際に再生芽内におけるSox9陽性細胞の分布の偏りを比較する方法を、共同研究者のサポートを得て考案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
shhを強力に発現誘導できるツメガエルの個体を得ることが当初の予想よりもずっと困難で時間を要したが、ようやく安定して個体が得られるようになった。また付属肢特異的な発現誘導方法の論文発表やshhの四肢エンハンサーの解析については当初の予定通りに行うことができた。一方でツメガエルの四肢再生における軟骨分化を幼生と成体で比較する実験については、分布の偏りを判定するに当たって各実験における結果の振れ幅が大きいため、その原因を現在探っている。
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今後の研究の推進方策 |
shhを強力に発現するTg個体が得られるようになったことから、当初の目的通り、様々な条件で局所的な発現誘導を行うことで、パターン形成の回復を図るためのベストな条件を見つける。shhの四肢エンハンサーに関しては、自分たちが樹立したエンハンサー活性を可視化するTgツメガエルを最大限活用し、DNAのメチル化とエンハンサーの不活性化との対応を裏付けるデータを更に集めた上で、査読のあるジャーナルへの論文発表を行う。またツメガエルの幼生と成体の四肢再生で軟骨分化を比較する実験については、十分な例数を確保した上で幼生と成体の違いを慎重に判定する。その上で、軟骨分化の阻害によってツメガエルの成体における再生能力の回復を図る実験を実施する。
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