研究課題/領域番号 |
21K06201
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
熱田 勇士 九州大学, 理学研究院, 講師 (80874685)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 四肢前駆細胞 / ダイレクトリプログラミング / AER / 3次元培養 / 四肢発生 / リプログラミング / 四肢再生 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、以下の3項目について研究を行う。 (1)ヒトiLPCを用いた肢芽様オルガノイド “リムボイド”の構築;リプログラミング技術とマイクロ流路システムを組み合わせることによって、ヒト線維芽細胞からヒト四肢様オルガノイド(リムボイド)作製を試みる。 (2)内在性AER細胞の培養条件の最適化とリプログラミングによるiAERの作製;ニワトリ線維芽細胞からAER様細胞を生み出すiAERリプログラミング法確立を目指す。 (3)ニワトリiLPCとiAERを用いた異所肢の作製;誘導されたiLPCとiAERが生体内で四肢発生を再現できるかについて調べるため、両細胞を用いて異所肢の作製を試みる
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研究実績の概要 |
2022年度は(1)ヒト四肢前駆細胞様細胞のトランスクリプトーム解析、(2)トランスジェニック(TG)ニワトリ作出の開始、(3)AER培養系の最適化に重点的に取り組んだ。 (1)前年度にヒト側板中胚葉から四肢前駆細胞様細胞を誘導する培養条件を見出したが、誘導された細胞の遺伝子発現プロファイルを網羅的に解析していなかったため、RNA-Seq解析を実施した。その結果、誘導された細胞では、多くの側板中胚葉マーカー遺伝子の発現が低下していたのに対して、ほぼすべての四肢前駆細胞マーカーの発現が上昇していた。また、マウス内在性四肢前駆細胞と比較したところ、四肢マーカーの発現レベルは両者間でほぼ同等であることが明らかとなった。 さらにヒトiLPCリプログラミングについても開始しており、最適化された培養条件にてマウス四肢前駆細胞リプログラミング因子(PZLL)を強制発現すると、四肢前駆細胞マーカー遺伝子の発現上昇がみられることを突き止めている。 (2)ニワトリiLPCおよびiAER作製の基盤となる四肢前駆細胞/AER-二重レポーターニワトリの作出に着手した。前年度に作成したコンストラクトを用いて、Prx1-ZsGreen(前駆細胞レポーター)とMsx2-DsRed(AERレポーター)がゲノム内に挿入されたニワトリ始原生殖細胞を樹立した。その始原生殖細胞をニワトリ胚へと移植しF0個体を得た。今秋、F0個体を掛け合わせることで、レポーター遺伝子を持ったニワトリF1胚を入手する予定である。 (3)iAERリプログラミング法の確立に取り組む前に、内在性のAER細胞を維持する培養系の条件検討を行なった。様々な条件にてAER細胞を培養したところ、AER細胞をハイドロゲル内に包埋し、GSK3b阻害剤、Fgf10、ROCK阻害剤存在下で培養すると、2週間に渡りAERマーカーの発現が維持されることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒトiLPC作製には着手し有望なデータは得られているものの、未だ未完である。また、ニワトリiLPC、iAER作製には着手できていない。これらのことから進捗状況を「やや遅れている」と判断した。しかしながら、培養条件も最適化できたため、ヒトiLPCリプログラミングについては、2023年度には円滑に進めることができると考えている。ニワトリ細胞を用いた実験系については、TGレポーター作出が完了すれば、研究を急速に加速させることが可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、引き続き(1)最適化した培養法を用いヒトiLPCを作製する、(2)ニワトリAER細胞培養の最適化することに取り組む。また、(3)ニワトリiLPCとiAERリプログラミングに着手する。(3)については、TGが作出されるまでは、レポーターコンストラクトを予め導入した初代線維芽細胞を出発材料とし、iLPCリプログラミングに関してはPZLLを基軸として実験を行う。iAERの誘導に関しては、先行研究にて実施したマウス肢芽表皮のscRNA-Seqデータを参考とし、候補因子を選定する。より具体的には、AERでエンリッチしていたp63、Dlx5/6、Sp6/8、Msx1/2などの転写因子群に注目する。候補因子群を線維芽細胞にて過剰発現させ、レポーターの発現を誘導するか見極めた後、ドロップアウトアッセイによりリプログラム因子をさらに絞り込む。
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